2026年版・5-9

国際取引と貿易実務の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「経営法務」から、国際取引と貿易実務に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-9

インコタームズ2020におけるFOB(本船渡し)条件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①FOB条件では、貨物が本船に積み込まれた時点で危険負担が売主から買主に移転する。
  • ②FOB条件では、輸入港に貨物が到着した時点で初めて危険負担が売主から買主に移転する。
  • ③FOB条件では、目的地までの海上運賃及び保険料を常に売主が負担することになる。
  • ④FOB条件は、海上輸送を伴わない航空輸送や陸上輸送の取引にのみ用いられる条件である。
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正解 ①FOB条件では、貨物が本船に積み込まれた時点で危険負担が売主から買主に移転する。
解説
FOB(Free On Board、本船渡し)は、インコタームズにおける代表的な取引条件の一つで、輸出港において貨物が本船の船上に置かれた時点で、貨物の滅失又は損傷の危険負担が売主から買主に移転します。それ以降の海上運賃や海上保険料は買主が負担するのが原則です。

他の選択肢が誤りの理由
②は危険負担の移転時期は輸入港到着時ではなく、輸出港での本船への積込み時であるため誤りです。③はFOB条件では本船積込み以降の海上運賃や保険料は買主の負担となるため、常に売主が負担するというのは誤りです。④はFOBは本船への積込みを基準とする条件であるため海上及び内陸水路輸送に適した規則であり、航空輸送や陸上輸送のみに用いられる条件ではないため誤りです。
問25-9

インコタームズ2020におけるCIF(運賃保険料込み)条件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①CIF条件では、危険負担は輸入港で貨物が陸揚げされた時点まで売主に留まる。
  • ②CIF条件で、危険負担の移転時期はFOB条件と同様に輸出港での本船積込み時である。
  • ③CIF条件における売主は、海上運賃や保険料を負担する義務を一切負わない。
  • ④CIF条件は、費用負担の範囲と危険負担の移転時期とが常に完全に一致する条件である。
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正解 ②CIF条件で、危険負担の移転時期はFOB条件と同様に輸出港での本船積込み時である。
解説
CIF(Cost, Insurance and Freight、運賃保険料込み)条件では、売主が目的港までの海上運賃と保険料を負担しますが、貨物の滅失・損傷の危険負担が売主から買主に移転する時期は、FOB条件と同じく輸出港で貨物が本船に積み込まれた時点です。費用を負担する区間と危険を負担する区間とが一致しない点が、この条件の理解上の注意点です。

他の選択肢が誤りの理由
①はCIF条件における危険負担の移転時期は輸入港での陸揚げ時ではなく、輸出港での本船積込み時であるため誤りです。③はCIF条件の売主は目的港までの海上運賃及び保険料を負担する義務を負うため、一切負担しないというのは誤りです。④はCIF条件は費用負担の区間(目的港まで)と危険負担の移転時期(輸出港での積込み時)とが一致しない点に特徴があるため、常に一致するというのは誤りです。
問35-9

インコタームズ2020におけるEXW(工場渡し)条件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①EXW条件では、輸出通関の手続を行う義務は売主が一貫して負うことになる。
  • ②EXW条件は、インコタームズが定める条件の中でも最も売主の負担が重い条件である。
  • ③EXW条件は、売主の施設で貨物を買主に委ねた時点で引渡しとなり、負担が最も軽い。
  • ④EXW条件を用いた場合、貨物の輸送に関する手配は常に売主が行うことになる。
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正解 ③EXW条件は、売主の施設で貨物を買主に委ねた時点で引渡しとなり、負担が最も軽い。
解説
EXW(Ex Works、工場渡し)は、売主が自己の施設(工場・倉庫等)において貨物を買主の処分に委ねた時点で引渡しが完了する条件であり、それ以降の輸送や輸出通関等の手続は買主が行います。インコタームズの中で売主の負担が最も軽い条件とされています。

他の選択肢が誤りの理由
②はEXW条件は売主の負担が最も軽い条件であり、最も重いのはDDP(関税込み持込渡し)条件であるため誤りです。①はEXW条件では輸出通関の手続も買主側の負担・手配となるのが原則であり、売主が一貫して行うわけではないため誤りです。④はEXW条件では貨物の引渡し後の輸送手配は買主が行うのが原則であり、常に売主が行うというのは誤りです。
問45-9

インコタームズ2020におけるDDP(関税込み持込渡し)条件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①DDP条件を用いる場合、輸出通関の手続は買主が行わなければならない。
  • ②DDP条件では、輸入国での関税や消費税等の納税義務は買主のみが負う。
  • ③DDP条件は、実務上、売主にとって最も危険負担及び費用負担が軽い条件である。
  • ④DDP条件では、輸入通関の手続や関税の支払も含めて売主が負担する義務を負う。
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正解 ④DDP条件では、輸入通関の手続や関税の支払も含めて売主が負担する義務を負う。
解説
DDP(Delivered Duty Paid、関税込み持込渡し)条件は、売主が輸入国内の指定された仕向地まで、輸送費・保険料に加えて輸入通関手続や関税、消費税等の費用や手続も含めて負担し、貨物を届ける条件です。買主にとっては手続の負担が最も少ない反面、売主は輸入国での通関や納税義務まで負うことになるため、最もリスクと負担が重い条件とされています。

他の選択肢が誤りの理由
②はDDP条件では輸入国での関税等の納税義務も売主が負うこととされており、買主のみが負うというのは誤りです。③はDDP条件は売主にとって危険負担・費用負担が最も重い条件であり、最も軽いのはEXW条件であるため誤りです。①はDDP条件では輸出通関の手続も売主が行う(負担する)のが原則であり、買主が行わなければならないというのは誤りです。
問55-9

貿易取引における信用状(L/C)取引の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①信用状とは、輸入者の取引銀行が輸出者に対して代金支払を確約する書類のことをいう。
  • ②信用状取引では、輸出者の信用リスクが専ら輸入者自身の信用リスクに置き換えられる。
  • ③信用状は、輸出者が船積書類を全く提示しなくても銀行から代金の支払を受けられる仕組みである。
  • ④信用状取引を利用すると、輸入者は代金の支払を保証する銀行を介在させることが一切できない。
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正解 ①信用状とは、輸入者の取引銀行が輸出者に対して代金支払を確約する書類のことをいう。
解説
信用状(L/C:Letter of Credit)とは、輸入者の依頼に基づき輸入者の取引銀行(発行銀行)が発行する書類で、輸出者が信用状に記載された条件どおりに船積みを行い、必要な船積書類を呈示することを条件として、発行銀行が代金の支払を確約するものです。これにより輸出者は、輸入者本人の信用リスクではなく、より信用力の高い銀行の信用リスクに依拠して取引を行うことができます。

他の選択肢が誤りの理由
②は信用状取引によって輸出者が依拠するリスクは輸入者自身の信用リスクではなく、発行銀行の信用リスクに転換される点が制度の趣旨であるため誤りです。③は信用状に基づく支払を受けるには、船荷証券やインボイス等の所定の船積書類を銀行に呈示することが条件とされており、書類の提示が不要というのは誤りです。④は信用状取引はまさに輸入者側の銀行を代金支払の保証人的な立場として介在させる仕組みであるため、銀行を介在させられないというのは誤りです。
問65-9

信用状付荷為替手形による貿易取引の決済に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①荷為替手形による決済は、船積書類を一切用いずに為替手形のみで完結する決済方法である。
  • ②荷為替手形による決済では、輸出者が為替手形に船積書類を添付し銀行に買取りを依頼する。
  • ③荷為替手形は、信用状を利用する取引においては用いることができない決済手段である。
  • ④荷為替手形による決済では、輸入者が自ら為替手形を振り出して輸出者に送付する。
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正解 ②荷為替手形による決済では、輸出者が為替手形に船積書類を添付し銀行に買取りを依頼する。
解説
荷為替手形による決済とは、輸出者が輸入者を支払人とする為替手形を振り出し、船荷証券やインボイス等の船積書類を添付したうえで自己の取引銀行に買取り(ネゴシエーション)を依頼し、代金相当額を早期に回収する決済方法です。信用状を利用する場合は、この荷為替手形に信用状も添付され、発行銀行による支払確約に基づいて取立てが行われます。

他の選択肢が誤りの理由
①は荷為替手形による決済は、為替手形に船荷証券等の船積書類を担保として添付することに特徴があり、書類を用いないというのは誤りです。③は信用状付荷為替手形決済という言葉があるとおり、荷為替手形は信用状を利用する取引でも広く用いられる決済手段であるため誤りです。④は為替手形を振り出すのは輸入者ではなく輸出者であるため誤りです。
問75-9

国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約、CISG)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①CISGは、動産の売買だけでなく不動産の売買にも広く適用される国際的な条約である。
  • ②CISGは、当事者の合意にかかわらずその適用を排除することが一切認められない条約である。
  • ③CISGは、消費者が個人的な使用のために購入する物品の売買には原則として適用されない。
  • ④日本は、ウィーン売買条約についていまだ締約国として発効させるに至っていない。
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正解 ③CISGは、消費者が個人的な使用のために購入する物品の売買には原則として適用されない。
解説
ウィーン売買条約(CISG)は、異なる締約国に営業所を有する当事者間の国際的な物品売買契約に適用される条約ですが、個人用・家族用又は家庭用に購入された物品の売買(消費者売買)、競売、有価証券の売買、船舶・航空機の売買等は適用対象から除外されています。日本では2009年8月1日に発効しています。

他の選択肢が誤りの理由
②はCISGは任意規定としての性格を持ち、当事者間の合意によってその全部又は一部の適用を排除することが認められているため誤りです。①はCISGは動産である物品の売買を対象とする条約であり、不動産の売買は対象としていないため誤りです。④は日本は2009年8月1日にウィーン売買条約の締約国としてこれを発効させており、いまだ発効させていないというのは誤りです。
問85-9

中小企業の海外取引におけるリスクヘッジとしての貿易保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①貿易保険を利用すれば、輸出取引に伴ういかなる損失であっても制限なく全額補填される。
  • ②貿易保険は、日本国内における取引にのみ適用され、海外取引には利用できない制度である。
  • ③貿易保険を提供する日本貿易保険(NEXI)は、民間企業のみを株主とする一般の保険会社である。
  • ④貿易保険は、通常の民間保険では救済が難しい海外取引特有のリスクを補填する役割を担う。
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正解 ④貿易保険は、通常の民間保険では救済が難しい海外取引特有のリスクを補填する役割を担う。
解説
貿易保険は、輸出取引や海外投資等に伴い生じ得る、輸入者の倒産や代金不払い、輸入国におけるカントリーリスク(戦争・為替取引制限等)といった、通常の民間の損害保険では引き受けが難しいリスクを補填するための制度です。日本貿易保険(NEXI)がこの貿易保険事業を担っており、中小企業を含む日本企業の海外展開を後押ししています。

他の選択肢が誤りの理由
②は貿易保険はまさに海外取引に伴うリスクを対象とする制度であり、国内取引にのみ適用されるというのは誤りです。③は日本貿易保険(NEXI)は貿易保険法に基づき貿易保険業務を行う独立行政法人であり、民間企業のみを株主とする一般の保険会社ではないため誤りです。①は貿易保険は保険の種類や契約内容に応じて填補率や上限額が定められており、あらゆる損失が制限なく全額補填されるわけではないため誤りです。
問95-9

貿易取引における為替予約を用いた為替リスクヘッジに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①為替予約とは、将来の一定時期に、あらかじめ定めた為替レートで通貨を交換する契約をいう。
  • ②為替予約を利用すると、決済時の為替レートの変動による損益は一切生じなくなるわけではない。
  • ③為替予約は、輸出取引にのみ利用でき、輸入取引には利用できない為替リスク対策である。
  • ④為替予約を締結すると、実際の決済時の市場レートが必ず優先して適用されることになる。
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正解 ①為替予約とは、将来の一定時期に、あらかじめ定めた為替レートで通貨を交換する契約をいう。
解説
為替予約とは、将来の一定の時期における通貨の交換について、あらかじめ為替レートを固定して契約しておく取引です。輸出入取引では、契約から代金決済までの間に為替レートが変動すると採算に影響が生じるため、あらかじめ為替予約を締結してレートを固定することで、為替変動リスクをヘッジする手段として広く利用されています。

他の選択肢が誤りの理由
②は為替予約によってあらかじめレートを固定すれば、その予約レートで決済することになり為替変動による損益変動を避けられる点にこの手法の意義があるため、「一切生じなくなるわけではない」という記述はヘッジの効果を正しく説明しておらず誤りです。③は為替予約は輸出取引だけでなく、代金を外貨で支払う輸入取引においても為替リスクをヘッジする手段として広く利用されているため誤りです。④は為替予約を締結した場合、決済時にはあらかじめ約定したレートが適用されるのが本来の趣旨であり、実際の市場レートが必ず優先されるというのは誤りです。
問105-9

国際取引契約における準拠法及び裁判管轄の合意に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①国際取引契約においては、準拠法をどの国の法律にするかを当事者が定めることは認められない。
  • ②国際取引契約では、当事者があらかじめ準拠法や裁判管轄について合意しておくのが一般的である。
  • ③国際取引契約に関する紛争は、必ず契約当事者双方の本国以外の第三国の裁判所で解決される。
  • ④国際取引契約における仲裁合意は、裁判所における訴訟に代わる紛争解決手段として利用できない。
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正解 ②国際取引契約では、当事者があらかじめ準拠法や裁判管轄について合意しておくのが一般的である。
解説
国際取引においては、契約当事者の所在する国が異なるため、契約に関する紛争が生じた場合にどの国の法律が適用されるか(準拠法)、どの国の裁判所又は仲裁機関で解決するか(裁判管轄・仲裁合意)があらかじめ明確でないと、紛争解決の予測可能性が損なわれます。そのため実務上は、契約書中に準拠法条項や裁判管轄条項、仲裁条項を定めておくことが一般的です。

他の選択肢が誤りの理由
①は契約自由の原則のもと、当事者は合意により契約の準拠法を選択することが広く認められているため誤りです。③は裁判管轄は当事者の合意により定めることができ、必ず第三国の裁判所で解決しなければならないわけではないため誤りです。④は国際商事仲裁は訴訟に代わる紛争解決手段として広く利用されており、非公開性や執行の容易さ等から国際取引で選好されることも多いため、利用できないというのは誤りです。

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