2026年版・5-3

会社法(組織再編・M&A)の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「経営法務」から、会社法(組織再編・M&A)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-3

会社法上の吸収合併と新設合併の違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①吸収合併と新設合併は、いずれも消滅会社の権利義務を承継しない点で共通する。
  • ②吸収合併では新たな会社が設立されるが、新設合併では既存の会社が存続する。
  • ③吸収合併では既存の会社が存続するが、新設合併では新たな会社が設立される。
  • ④新設合併は上場会社が用いることのできない、非公開会社専用の組織再編手法である。
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正解 ③吸収合併では既存の会社が存続するが、新設合併では新たな会社が設立される。
解説
吸収合併は、合併する会社の一方が存続し、他方が消滅してその権利義務の全部を存続会社が承継する組織再編です。これに対し新設合併は、合併する会社がすべて消滅し、新たに設立する会社が消滅会社の権利義務の全部を承継します。新設合併は許認可の再取得等の手間がかかることから、実務上は吸収合併が用いられることが多いとされます。

他の選択肢が誤りの理由
②は存続会社が残るのは吸収合併であり、新設合併では合併当事会社がすべて消滅して新会社が設立されるため、説明が逆で誤りです。①は吸収合併・新設合併とも、消滅会社の権利義務の全部を存続会社又は新設会社が包括的に承継する点が組織再編としての特徴であり、承継しないというのは誤りです。④は新設合併は上場会社であっても選択し得る組織再編の一類型であり、非公開会社専用というわけではないため誤りです。
問25-3

会社分割における吸収分割と新設分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①吸収分割では、分割の対象となる事業の従業員との労働契約を承継させることができない。
  • ②新設分割は事業に関する権利義務を、分割会社と資本関係のない既存会社に承継させる行為をいう。
  • ③会社分割は個別の財産ごとに債権者の同意を得て権利義務を移転させる点に特徴がある。
  • ④吸収分割は事業に関する権利義務の全部又は一部を既存の他会社に承継させる行為である。
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正解 ④吸収分割は事業に関する権利義務の全部又は一部を既存の他会社に承継させる行為である。
解説
吸収分割は、株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を、分割後他の既存の会社に承継させる会社の組織再編行為です(会社法2条29号)。承継させる先が既存会社である点が吸収分割の特徴で、新たに会社を設立して承継させる新設分割と区別されます。

他の選択肢が誤りの理由
②は新設分割は権利義務を新たに設立する会社に承継させる行為であり、既存会社に承継させるものではないため誤りです。③は会社分割は事業に関する権利義務を包括的に承継させる組織再編行為であり、個別の財産ごとに債権者の同意を得て移転する事業譲渡とは異なる点に特徴があるため誤りです。①は会社分割では労働契約承継法に基づく手続を経ることで、分割対象事業に主として従事する労働者との労働契約を承継させることができるため誤りです。
問35-3

株式交換と株式移転に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①株式交換は、既存の株式会社を完全親会社とし、他の会社を完全子会社とする組織再編である。
  • ②株式移転は、既存の株式会社を完全子会社とし、新設会社を完全親会社とする組織再編である。
  • ③株式交換を行うと、完全子会社となる会社は法律上当然に解散して消滅することになる。
  • ④株式移転の手続では、完全親会社となる会社を新たに設立することは認められていない。
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正解 ①株式交換は、既存の株式会社を完全親会社とし、他の会社を完全子会社とする組織再編である。
解説
株式交換は、株式会社がその発行済株式の全部を既存の他の株式会社又は合同会社に取得させる組織再編行為であり、完全親会社となるのは既存の会社です(会社法2条31号)。これに対し株式移転は、1つ又は2つ以上の株式会社が、その発行済株式の全部を新たに設立する会社に取得させる行為であり、完全親会社は新設される会社です(会社法2条32号)。

他の選択肢が誤りの理由
②は株式移転で完全親会社となるのは別の既存会社ではなく、新たに設立される会社であるため誤りです。③は株式交換では完全子会社となる会社は解散せず、株式のみが完全親会社に取得され、会社としては存続するため誤りです。④は株式移転では完全親会社となる会社を新たに設立することが制度の本質であり、認められていないというのは誤りです。
問45-3

2021年3月1日に施行された会社法上の株式交付制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①株式交付は、対象会社を完全子会社化する場合にのみ利用が認められる制度である。
  • ②株式交付は、自社株式を対価に他の株式会社を子会社化する組織再編行為である。
  • ③株式交付を利用する際、対価として金銭以外を用いることは会社法上認められない。
  • ④株式交付制度は、株式交換制度を全面的に廃止して置き換える形で新設された。
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正解 ②株式交付は、自社株式を対価に他の株式会社を子会社化する組織再編行為である。
解説
株式交付は、株式会社が他の株式会社をその子会社とするために、当該他の株式会社の株主から株式を譲り受け、その対価として自社の株式を交付する行為であり、令和元年改正会社法により新設され2021年3月1日に施行されました。株式交換と異なり完全子会社化までは求められず、議決権の過半数を有する子会社とすれば足りる点が特徴です。

他の選択肢が誤りの理由
①は株式交付は完全子会社化を要件とせず、支配権を取得できる範囲での子会社化にも利用できる制度であるため誤りです。③は株式交付が自社の株式という金銭以外の財産を対価とすることを本質とする制度であり、金銭以外を対価にできないというのは誤りです(対価の一部に金銭等を加えて交付することも可能です)。④は株式交付は完全子会社化を目的とする株式交換とは別に新設された制度であり、株式交換を廃止して置き換えたものではないため誤りです。
問55-3

吸収合併における簡易合併の手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①簡易合併の制度は、存続会社と消滅会社の間に親子会社関係があることを前提とする。
  • ②簡易合併の要件を満たせば、消滅会社側でも株主総会決議を常に省略することができる。
  • ③合併対価の額が存続会社の純資産額の5分の1以下等の場合、株主総会決議を省略できる。
  • ④簡易合併に該当する場合、存続会社は株主に対する事前の情報開示を一切要しないとされる。
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正解 ③合併対価の額が存続会社の純資産額の5分の1以下等の場合、株主総会決議を省略できる。
解説
簡易合併とは、存続会社が消滅会社の株主に交付する合併対価の帳簿価額の合計額が、存続会社の純資産額の5分の1(定款でこれを下回る割合を定めることも可)を超えない場合等に、存続会社側の株主総会決議を省略できる制度です(会社法796条2項・3項)。合併による存続会社株主への影響が小さいと考えられることから手続が簡略化されています。

他の選択肢が誤りの理由
②は簡易合併により省略できるのは存続会社側の株主総会決議であり、消滅会社側の株主総会決議は原則として省略できないため誤りです。①は親子会社関係の存在を前提とするのは略式合併の制度であり、簡易合併は資本関係の有無を問わず対価の規模のみを基準とする制度であるため誤りです。④は簡易合併であっても、存続会社は合併契約の内容等を記載した書面を備え置き、株主の閲覧に供する等の事前開示は必要であるため誤りです。
問65-3

組織再編における略式合併の手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①略式合併という制度は、当事会社間に資本関係が全く存在しない場合にのみ用いることができる。
  • ②略式合併の要件を満たす場合、被支配会社側の株主総会決議に加えて支配会社側の決議も省略される。
  • ③略式合併における議決権保有割合の基準は、90%ではなく過半数の50%超とされている。
  • ④略式合併は、一方の会社が他方の議決権の90%以上を有する特別支配会社である場合に利用できる。
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正解 ④略式合併は、一方の会社が他方の議決権の90%以上を有する特別支配会社である場合に利用できる。
解説
略式合併は、合併の一方当事会社(特別支配会社)が他方当事会社の総株主の議決権の90%以上を有している場合に、被支配会社側の株主総会決議を省略できる制度です(会社法784条1項、796条1項等)。90%以上の議決権を有する支配会社が承認することは事実上確実であるため、被支配会社側の総会を開催する意義が乏しいことによります。

他の選択肢が誤りの理由
②は略式合併で省略されるのは被支配会社側の株主総会決議であり、支配会社側の株主総会決議まで省略されるわけではない(簡易合併の要件を満たさない限り必要)ため誤りです。③は略式合併の議決権保有割合の基準は90%以上であり、過半数の50%超ではないため誤りです。①は略式合併はむしろ当事会社間に90%以上という強い資本関係(支配関係)が存在する場合に用いられる制度であり、資本関係が全くない場合には利用できないため誤りです。
問75-3

組織再編に反対する株主の株式買取請求権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①反対株主は、会社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できる。
  • ②株式買取請求権は、組織再編に賛成した株主に対してのみ認められる権利である。
  • ③株式買取請求権を行使した株主は、会社が一方的に定めた金額での買取りに応じるほかない。
  • ④株式買取請求権は、組織再編の効力発生日以後であれば期間の制限なく行使できる。
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正解 ①反対株主は、会社に対し自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できる。
解説
合併等の組織再編行為に反対する株主は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます(会社法785条等)。これは組織再編によって不利益を受けるおそれのある少数株主に、投下資本を回収する機会を与えるための制度です。価格について当事者間で協議が調わない場合は、裁判所に価格決定の申立てをすることができます。

他の選択肢が誤りの理由
②は株式買取請求権は組織再編に反対した株主に認められる権利であり、賛成した株主には認められないため誤りです。③は買取価格は当事者間の協議で定まらない場合、裁判所が公正な価格を決定する仕組みが用意されており、会社が一方的に定めた金額に従うほかないわけではないため誤りです。④は株式買取請求権の行使は、組織再編の効力発生日より前の一定の期間内に行う必要があり、効力発生後は期間の制限なく行使できるものではないため誤りです。
問85-3

事業譲渡と会社分割の違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①会社分割では、承継させる権利義務ごとに個別の債権者から承諾を得なければならない。
  • ②事業譲渡は、対象となる債務の移転につき原則として個別に債権者の承諾が必要である。
  • ③事業譲渡は会社法上の組織再編行為であり、会社分割と同様の債権者保護手続を要する。
  • ④会社分割によっては、許認可を承継会社や新設会社に引き継がせることが一切できない。
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正解 ②事業譲渡は、対象となる債務の移転につき原則として個別に債権者の承諾が必要である。
解説
事業譲渡は個々の財産や権利義務を個別に譲渡する取引法上の行為であるため、債務を移転させるには原則として民法上の債務引受けの手続に従い、個別に債権者の承諾を得る必要があります。これに対し会社分割は、承継会社等が権利義務を包括的に承継する組織再編行為であるため、個々の債権者の個別の承諾は不要ですが、その代わりに会社法上の債権者保護手続(公告・催告)が設けられています。

他の選択肢が誤りの理由
①は会社分割は権利義務を包括的に承継する組織再編行為であり、個別の債権者の承諾を要しない点が事業譲渡との大きな違いであるため誤りです。③は事業譲渡は会社法上の組織再編行為ではなく取引法上の行為であり、会社分割のような債権者保護手続の規律を直接受けるものではないため誤りです。④は会社分割では権利義務が包括的に承継されるため、多くの許認可が承継会社等に引き継がれる点で事業譲渡より優れているとされ、一切できないというのは誤りです。
問95-3

会社分割における債権者保護手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①債権者保護手続における公告は、分割の効力発生後に行えば足りるとされている。
  • ②会社分割では、いかなる債権者も分割に対して異議を述べる機会が与えられない。
  • ③会社は分割への異議を述べられる旨を公告し、知れた債権者には各別に催告する。
  • ④知れている債権者に対する各別の催告は、公告を行えば常に省略することができる。
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正解 ③会社は分割への異議を述べられる旨を公告し、知れた債権者には各別に催告する。
解説
会社分割の当事会社は、分割をする旨や債権者が一定期間内に異議を述べることができる旨等を官報に公告するとともに、知れている債権者に対しては各別にこれを催告しなければなりません(会社法789条、810条等)。これにより、分割によって責任財産の帰属が変わり得る債権者の利益を保護しています。

他の選択肢が誤りの理由
②は会社分割によって債務者が変わるなど不利益を受けるおそれのある債権者には、法律上異議を述べる機会が保障されているため誤りです。①は債権者保護手続としての公告・催告は、分割の効力発生前の所定の期間内に行う必要があり、効力発生後でよいわけではないため誤りです。④は公告を官報のほか定款で定めた日刊新聞紙や電子公告によって行うことで各別の催告を省略できる制度はありますが、単に公告さえすれば常に省略できるという単純なものではなく、法定の要件を満たす方法による公告が必要であるため誤りです。
問105-3

会社法上の組織再編の無効を争う手段に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①合併無効の訴えは、合併の効力発生後、期間の制限なくいつでも提起することができる。
  • ②合併に無効原因があれば、誰でも、いつでも自由にその無効を主張することができる。
  • ③合併無効の訴えを提起できるのは、合併当事会社の代表取締役のみに限定されている。
  • ④合併の無効は、訴えによってのみ主張でき、当事者が自由に主張できるものではない。
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正解 ④合併の無効は、訴えによってのみ主張でき、当事者が自由に主張できるものではない。
解説
会社の組織に関する行為である合併等の無効は、法的安定性を確保する観点から、会社法が定める合併無効の訴えという方法によってのみ主張することができます(会社法828条)。当事者が訴訟によらずに自由に無効を主張したり、当然に無効を前提とした行動をとったりすることは認められていません。

他の選択肢が誤りの理由
②は合併無効の訴えを提起できる者は株主や取締役、清算人等の一定の利害関係人に限定されており、また提訴期間の制限もあるため、誰でも自由に主張できるわけではなく誤りです。③は合併無効の訴えを提起できるのは代表取締役に限られず、株主や取締役、監査役、破産管財人等の幅広い利害関係人が原告となり得るため誤りです。①は合併無効の訴えは、合併の効力発生の日から6か月以内に提起しなければならないという期間制限があるため誤りです。

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