2026年版・3-5

コーポレートガバナンスとCSRの一問一答

中小企業診断士(一次試験)「企業経営理論」から、コーポレートガバナンスとCSRに関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-5

コーポレートガバナンスの基本的な目的に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①経営者の権限をできる限り強化し、株主による監視を一切及ばないようにすることにある。
  • ②自社の株価を短期的に引き上げることのみを唯一の目的として、経営を監視することにある。
  • ③経営者による企業運営を監視し、株主など利害関係者の利益を守る仕組みを整えることにある。
  • ④従業員の労働条件を経営者が独断で決定できるよう、監視の仕組みをあえて弱めることにある。
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正解 ③経営者による企業運営を監視し、株主など利害関係者の利益を守る仕組みを整えることにある。
解説
コーポレートガバナンス(企業統治)は、経営者による企業運営が適切に行われているかを監視し、株主をはじめとする利害関係者の利益が損なわれないようにするための仕組みを指します。経営の透明性・健全性を確保し、不正やモラルハザードを防止することが基本的な目的です。

他の選択肢が誤りの理由
①は経営者の権限を強化し株主監視を及ばないようにするとしており、経営を監視するというガバナンスの目的そのものと矛盾します。②は株価の短期的な引き上げのみを目的とするとしていますが、ガバナンスは中長期的な企業価値の向上や利害関係者全体の利益を重視する考え方であり、一面的な説明として誤りです。④は監視の仕組みをあえて弱めるとしており、監視機能を整備しようとするガバナンスの目的と正反対の内容であるため誤りです。
問23-5

会社法が定める機関設計のうち「監査役会設置会社」の特徴として、最も適切な記述はどれか。

  • ①取締役会が業務執行の意思決定を行い、監査役会が職務執行を監査する伝統的な機関設計である。
  • ②指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つを設置し、執行役が業務執行を担う機関設計である。
  • ③取締役で構成される監査等委員会のみを置き、独立した監査役は置かない機関設計である。
  • ④取締役会も監査役も置かず、株主総会のみで会社の意思決定を完結させる機関設計である。
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正解 ①取締役会が業務執行の意思決定を行い、監査役会が職務執行を監査する伝統的な機関設計である。
解説
監査役会設置会社は、取締役会が業務執行に関する意思決定を行い、取締役会とは別に設置された監査役会(監査役3名以上、半数以上が社外監査役)が取締役の職務執行を監査する、日本で伝統的に用いられてきた機関設計です。業務執行の決定機関と監査機関が明確に分かれている点に特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
②は指名委員会等設置会社の機関設計の説明であり、監査役会設置会社とは異なります。③は監査等委員会設置会社の機関設計の説明であり、監査役会設置会社とは異なる制度です。④は取締役会も監査役も置かないとしていますが、監査役会設置会社は取締役会と監査役会をいずれも設置する機関設計であるため誤りです。
問33-5

「指名委員会等設置会社」を採用した場合の機関設計について、最も適切な記述はどれか。

  • ①監査役会のみを設置し、指名委員会や報酬委員会に関する規定は設置しない機関設計である。
  • ②指名・監査・報酬の3委員会を設置し、取締役会選任の執行役が業務執行を担う機関設計である。
  • ③取締役で構成される監査等委員会を設置し、指名委員会や報酬委員会は設置しない機関設計である。
  • ④株主総会が指名・監査・報酬のすべての機能を直接担い、取締役会を設置しない機関設計である。
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正解 ②指名・監査・報酬の3委員会を設置し、取締役会選任の執行役が業務執行を担う機関設計である。
解説
指名委員会等設置会社は、取締役会の中に指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3つの委員会(いずれも過半数を社外取締役が占める)を設置し、取締役会が選任した執行役が業務執行を担う機関設計です。業務執行と監督の機能を明確に分離することで、監督機能の実効性を高める狙いがあります。

他の選択肢が誤りの理由
①は監査役会設置会社の機関設計の説明であり、3委員会を設置する指名委員会等設置会社とは異なります。③は監査等委員会設置会社の機関設計の説明であり、指名委員会等設置会社とは異なる制度です。④は株主総会が指名・監査・報酬の機能を直接担うとしていますが、これらの機能は取締役会の中に置かれた各委員会が担うため誤りです。
問43-5

会社法上の「監査等委員会設置会社」に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①指名委員会・監査委員会・報酬委員会という3つの委員会をすべて設置する機関設計である。
  • ②監査役会と監査等委員会の両方を必ず併設しなければならないとされる機関設計である。
  • ③監査等委員会の委員はすべて社内出身の取締役でなければならないとされる機関設計である。
  • ④過半数の社外取締役を含む監査等委員会が、取締役の職務執行を監査する機関設計である。
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正解 ④過半数の社外取締役を含む監査等委員会が、取締役の職務執行を監査する機関設計である。
解説
監査等委員会設置会社は、過半数を社外取締役が占める取締役3名以上で構成される監査等委員会が、取締役の職務執行を監査する機関設計です。監査役会設置会社と指名委員会等設置会社の中間的な位置づけの制度として、2014年の会社法改正により新設され、2015年5月に施行されました。

他の選択肢が誤りの理由
①は指名委員会・監査委員会・報酬委員会の3委員会を設置するとしており、これは指名委員会等設置会社の機関設計の説明であり誤りです。②は監査役会と監査等委員会の両方を併設するとしていますが、監査等委員会設置会社では監査役(会)は置かれないため誤りです。③は監査等委員会の委員が全員社内出身でなければならないとしていますが、実際には過半数を社外取締役が占める必要があるため誤りです。
問53-5

会社法上の「社外取締役」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①対象会社の業務執行取締役を、直前まで務めていた人物でなければ就任できないとされる。
  • ②対象会社の親会社の業務執行取締役を兼務していても、独立性に問題はないとされる。
  • ③会社や経営陣から独立した立場で、経営の監督や少数株主保護の役割を期待されている。
  • ④社外取締役は、株主総会の決議を経ずに取締役会限りの判断で選任できるとされる。
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正解 ③会社や経営陣から独立した立場で、経営の監督や少数株主保護の役割を期待されている。
解説
社外取締役は、会社の業務執行や経営陣から独立した立場に立ち、経営の監督機能を高めるとともに、少数株主をはじめとする株主全体の利益を代弁する役割などを期待される取締役です。客観的な視点から経営陣の意思決定をチェックする機能が求められます。

他の選択肢が誤りの理由
①は対象会社の業務執行取締役を直前まで務めていた人物でなければ就任できないとしていますが、実際には逆に業務執行取締役を直近まで務めていた者は独立性の要件を満たさず社外取締役になれないとされ、記述は誤りです。②は親会社の業務執行取締役を兼務していても独立性に問題はないとしていますが、実際にはそのような兼務は独立性を損なう要因とされるため誤りです。④は株主総会の決議を経ずに選任できるとしていますが、取締役の選任には株主総会の決議が必要であるため誤りです。
問63-5

コーポレートガバナンスの理論的背景となる「エージェンシー理論」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)の利害不一致から生じる問題を扱う理論である。
  • ②株主と経営者の利害は本来完全に一致しており、両者に問題が生じる余地はないとする理論である。
  • ③経営者の意思決定は常に株主の利益を最優先しており、監視の必要はないとする理論である。
  • ④企業の技術力や生産性のみに着目し、株主と経営者の関係には言及しない理論である。
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正解 ①株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)の利害不一致から生じる問題を扱う理論である。
解説
エージェンシー理論は、株式会社において所有(株主)と経営(経営者)が分離していることに着目し、依頼人である株主(プリンシパル)と、委任を受けて経営を行う経営者(エージェント)との間で利害が必ずしも一致しないことから生じる問題(エージェンシー問題)を扱う理論です。コーポレートガバナンスの必要性を理論的に裏付ける考え方の一つとされます。

他の選択肢が誤りの理由
②は株主と経営者の利害が本来完全に一致しているとしていますが、実際には両者の利害が乖離しうる点にエージェンシー理論の出発点があり誤りです。③は経営者が常に株主利益を最優先し監視が不要だとしていますが、これはエージェンシー問題が生じないとする前提であり、理論の趣旨と矛盾します。④は技術力や生産性のみに着目し株主・経営者の関係に言及しないとしていますが、エージェンシー理論はまさに株主と経営者の関係を扱う理論であるため誤りです。
問73-5

企業の社会的責任(CSR)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①企業が法令を遵守してさえいれば、それ以上の社会的な配慮は一切不要であるとする考え方である。
  • ②企業が利益を追求することを完全にやめ、非営利活動のみに専念すべきとする考え方である。
  • ③CSRは上場企業のみに課される法律上の義務であり、非上場企業には一切関係がない。
  • ④企業が経済的な利益の追求だけでなく、社会や環境にも配慮した行動をとる責任を指す。
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正解 ④企業が経済的な利益の追求だけでなく、社会や環境にも配慮した行動をとる責任を指す。
解説
企業の社会的責任(CSR)は、企業が経済的な利益を追求するだけでなく、事業活動が社会や環境に与える影響にも配慮し、法令遵守を超えて自主的に責任ある行動をとることを指します。従業員・顧客・地域社会など幅広いステークホルダーとの関係の中で企業の持続的な発展を図る考え方です。

他の選択肢が誤りの理由
①は法令を遵守してさえいればそれ以上の配慮は不要だとしていますが、CSRは法令遵守を超えた自主的な取り組みを重視する考え方であり誤りです。②は利益追求を完全にやめ非営利活動に専念すべきだとしていますが、CSRは経済的な利益の追求と社会的配慮の両立を目指す考え方であり誤りです。③はCSRを上場企業のみの法律上の義務としていますが、CSRは法的義務ではなく企業の規模や上場の有無を問わず求められる自主的な取り組みであるため誤りです。
問83-5

企業経営における「ステークホルダー」の考え方に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①ステークホルダーとは、対象企業の発行済み株式を保有する株主のみを指す用語である。
  • ②株主に限らず従業員・顧客・取引先・地域社会など利害関係者を幅広く含む概念である。
  • ③ステークホルダーとは、対象企業と競合関係にある同業他社のみを指す用語である。
  • ④ステークホルダーとは、対象企業を監督する立場の行政機関のみを指す用語である。
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正解 ②株主に限らず従業員・顧客・取引先・地域社会など利害関係者を幅広く含む概念である。
解説
ステークホルダーとは、株主に限らず、従業員・顧客・取引先・金融機関・地域社会など、企業の活動によって影響を受け、また企業に影響を与えうる、企業を取り巻く幅広い利害関係者を指す概念です。企業経営においては、株主だけでなくこうした多様なステークホルダーとの関係にも配慮することが求められるとされます。

他の選択肢が誤りの理由
①はステークホルダーを株主のみに限定していますが、実際には従業員や顧客、取引先など株主以外の幅広い主体を含む概念であるため誤りです。③はステークホルダーを競合他社のみに限定していますが、競合他社は一般にステークホルダーの典型例としては扱われず誤りです。④はステークホルダーを行政機関のみに限定していますが、行政機関を含み得るとしても、それのみに限定する説明は誤りです。
問93-5

上場会社に適用される「コーポレートガバナンス・コード」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①コーポレートガバナンス・コードは、違反した場合に必ず刑事罰が科されるとする法律である。
  • ②コーポレートガバナンス・コードは、非上場の中小企業にのみ強制的に適用される規範である。
  • ③上場会社が実効的なガバナンス原則を示し、コンプライ・オア・エクスプレインの手法をとる。
  • ④コーポレートガバナンス・コードは、取締役会の設置そのものを一律に禁止する規範である。
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正解 ③上場会社が実効的なガバナンス原則を示し、コンプライ・オア・エクスプレインの手法をとる。
解説
コーポレートガバナンス・コードは、上場会社が実効的なコーポレートガバナンスを実現するための主要な原則を示した規範であり、法律のような強制力を持つものではなく、原則を実施しない場合にはその理由を説明する「コンプライ・オア・エクスプレイン」という手法を採用している点に特徴があります。証券取引所の上場規則を通じて上場会社に適用されます。

他の選択肢が誤りの理由
①はコーポレートガバナンス・コードを違反時に刑事罰が科される法律としていますが、これは法律ではなくソフトローと呼ばれる規範であり誤りです。②は非上場の中小企業にのみ強制適用されるとしていますが、実際には主に上場会社を対象とする規範であり誤りです。④は取締役会の設置を一律に禁止する規範としていますが、コーポレートガバナンス・コードはガバナンス強化の原則を示すものであり、そのような禁止規定ではないため誤りです。
問103-5

「CSV(共通価値の創造)」と「CSR」の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①CSVは社会的課題の解決と経済的価値創出を両立させる点でCSRと視点が異なるとされる。
  • ②CSVとCSRは実質的にまったく同一の概念であり、両者を区別する意味はないとされる。
  • ③CSVは、社会的な課題の解決を一切考慮せず、経済的価値の追求のみを目指す考え方である。
  • ④CSRは、企業の経済的な価値の創出を一切伴わない、純粋な慈善活動のみを指す考え方である。
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正解 ①CSVは社会的課題の解決と経済的価値創出を両立させる点でCSRと視点が異なるとされる。
解説
CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)は、マイケル・ポーターらが提唱した考え方で、社会的な課題の解決と、自社の経済的な価値の創出を同時に(両立させながら)追求する点に特徴があります。社会貢献活動と本業を切り離しがちであった従来型のCSRとは異なり、事業戦略そのものに社会的価値の創出を組み込む点が強調されます。

他の選択肢が誤りの理由
②はCSVとCSRを実質的に同一の概念としていますが、両者は社会的価値と経済的価値の関係の捉え方が異なる別の概念として整理されており誤りです。③はCSVが社会的課題の解決を一切考慮しないとしていますが、CSVはむしろ社会的課題の解決を経済的価値創出と結び付ける考え方であるため誤りです。④はCSRが経済的な価値の創出を一切伴わない純粋な慈善活動のみを指すとしていますが、CSRは本業を通じた社会的責任の遂行も含む幅広い概念であるため誤りです。

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