2026年版・3-4

企業提携・M&A戦略の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「企業経営理論」から、企業提携・M&A戦略に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-4

企業のM&A(合併・買収)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①自社に不足する経営資源は、常に自前でゼロから育成することを徹底すべきとする考え方である。
  • ②合併とは、対象企業の発行済株式の過半数を取得し子会社化することのみを指す用語である。
  • ③M&Aは、不足する経営資源を外部から短期間で獲得する、時間を買う戦略として活用される。
  • ④買収とは、複数の会社がいったん解散し一つの新しい会社を新設することのみを指す用語である。
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正解 ③M&Aは、不足する経営資源を外部から短期間で獲得する、時間を買う戦略として活用される。
解説
M&Aは、合併(Merger)と買収(Acquisition)の総称であり、自社に不足する技術・人材・販売網といった経営資源を、時間をかけて自前で育成する代わりに、他社を取得することで短期間に獲得する「時間を買う戦略」として位置づけられます。新規事業への迅速な参入や事業規模の拡大を図る手段として活用されます。

他の選択肢が誤りの理由
①は経営資源を常に自前で育成すべきとしており、外部から短期間で獲得するというM&Aの基本的な意義と矛盾します。②は株式の過半数取得による子会社化を「合併」としていますが、これは会社が存続したまま経営権を取得する「買収」の説明であり誤りです。④は会社が解散し新会社を設立することを「買収」としていますが、これは複数の会社が一つになる「合併(新設合併)」の説明であり誤りです。
問23-4

株式公開買付け(TOB)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①買付け期間・価格・株数などの条件を公告し、市場を通さずに株式を買い集める方法である。
  • ②証券取引所の立会内で、市場価格のまま無条件に株式を買い集める通常の株式売買のことである。
  • ③発行会社が自社の新株を引受人に割り当てて発行し、資金を調達するための増資の手法である。
  • ④会社の株主総会において、議決権の委任を株主から取り付けるための手続きのことである。
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正解 ①買付け期間・価格・株数などの条件を公告し、市場を通さずに株式を買い集める方法である。
解説
株式公開買付け(TOB)は、買付け期間・買付け価格・買付け予定株数などの条件をあらかじめ公告したうえで、証券取引所を通さずに不特定多数の株主から直接株式を買い集める制度です。買収者が対象会社の経営権を取得する手段の一つとして用いられ、友好的・敵対的いずれの場面でも利用されます。

他の選択肢が誤りの理由
②は市場価格のまま取引所の立会内で行う通常の株式売買であり、条件を公告して市場外で行うTOBとは異なる手続きです。③は新株発行による資金調達(増資)の説明であり、既発行株式を買い集めるTOBとは異なります。④は株主総会における議決権行使の委任(委任状勧誘)の説明であり、TOBとは異なる制度です。
問33-4

企業間の「戦略的提携(アライアンス)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①一方の企業が他方の企業の発行済株式の全部を取得し、完全子会社化することのみを指す。
  • ②複数の企業が合併によりそれぞれの法人格を一つに統合することのみを、提携と呼ぶ。
  • ③提携関係を結んだ企業同士は、必ず経営の独立性を完全に失い一体の組織となる。
  • ④資本関係の有無にかかわらず、独立した企業同士が特定目的で協力関係を結ぶことをいう。
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正解 ④資本関係の有無にかかわらず、独立した企業同士が特定目的で協力関係を結ぶことをいう。
解説
戦略的提携(アライアンス)は、資本関係を伴う場合と伴わない場合のいずれも含め、法的に独立した企業同士が、技術開発・生産・販売などの特定の目的のために協力関係を結ぶことをいいます。M&Aのように経営権を統合するのではなく、互いの独立性を保ちながら特定分野で協力し合う点に特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
①は株式の全部取得による完全子会社化としており、これは買収の一形態であって、独立性を保ちながら協力する提携の説明としては誤りです。②は合併による法人格の統合としており、法人格を一つに統合する合併と、独立性を保ったまま協力する提携とは異なる概念です。③は提携関係を結ぶと必ず経営の独立性を完全に失うとしており、独立した企業同士の協力関係であるという提携の基本的な性質と矛盾します。
問43-4

複数の企業が共同で出資して新会社を設立する「合弁事業(ジョイントベンチャー)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①出資企業のうち1社が単独ですべての意思決定を行い、他の出資企業は一切関与しない。
  • ②海外への事業進出では、必ず合弁事業以外の方法のみを選ばなければならないとされる。
  • ③出資企業同士の間で、資本関係や契約関係を一切結ばずに事業を行う形態のことを指す。
  • ④出資企業同士が経営資源を持ち寄り、単独で負いにくいリスクを分担し事業展開できる。
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正解 ④出資企業同士が経営資源を持ち寄り、単独で負いにくいリスクを分担し事業展開できる。
解説
合弁事業(ジョイントベンチャー)は、複数の企業が共同で出資して新会社を設立し、それぞれが持つ技術・資金・販売網といった経営資源を持ち寄ることで、単独では負いにくい投資負担やリスクを分担しながら事業を展開できる提携形態です。海外進出時に現地企業と合弁会社を設立し、現地の知見を活用する例などがよく見られます。

他の選択肢が誤りの理由
①は出資企業のうち1社のみが意思決定を行うとしており、複数の出資者が共同で経営に関与する合弁事業の基本的な性質と矛盾します。③は資本関係や契約関係を一切結ばないとしており、共同出資によって新会社を設立するという合弁事業の定義そのものと矛盾します。②は海外進出には合弁事業以外の方法しか選べないとしていますが、単独出資による現地法人設立など他の方法も存在するため誤りです。
問53-4

敵対的買収に対する防衛策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①ポイズンピルは、買収対象企業の経営陣が自社の全株式を買収者へ譲渡する手法である。
  • ②ホワイトナイトは、敵対的買収者自身が友好的な買収者へと変わることのみを指す用語である。
  • ③ポイズンピルは、買収者以外の既存株主に新株を有利な条件で取得させ持株比率を低下させる。
  • ④黄金株は、すべての株主が平等に1株1議決権を持つことを保証するための制度である。
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正解 ③ポイズンピルは、買収者以外の既存株主に新株を有利な条件で取得させ持株比率を低下させる。
解説
ポイズンピル(新株予約権の無償割当てなどを用いた防衛策)は、買収者以外の既存株主に新株や新株予約権を有利な条件で取得させることで、買収者の持株比率を相対的に低下させ、買収コストを引き上げて買収意欲をそぐ防衛策です。あらかじめ定款や信託の仕組みを整えておく事前警告型として導入されることが多いとされます。

他の選択肢が誤りの理由
①はポイズンピルを経営陣が自社の全株式を買収者へ譲渡する手法としており、これは防衛策ではなくむしろ買収に応じる行為であり誤りです。②はホワイトナイトを敵対的買収者自身が友好的買収者に変わることとしていますが、実際には敵対的買収者とは別の友好的な第三者が対抗して買収を行う防衛策であり誤りです。④は黄金株を1株1議決権の平等を保証する制度としていますが、実際には特定の株主に重要事項への拒否権など特別な権利を与える株式であり、平等な議決権を保証する制度ではないため誤りです。
問63-4

「MBO(マネジメント・バイアウト)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①会社の経営陣が自ら株式や事業を買い取り、オーナー経営者として独立する手法である。
  • ②外部の投資ファンドのみが対象会社の株式を買い取り、経営陣を全員入れ替える手法である。
  • ③会社の従業員全員が均等に株式を割り当てられ、共同で経営に参加する制度である。
  • ④上場会社が新規に株式を証券取引所に上場させる際の一連の手続きのことである。
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正解 ①会社の経営陣が自ら株式や事業を買い取り、オーナー経営者として独立する手法である。
解説
MBO(マネジメント・バイアウト)は、会社の経営陣自身が、投資ファンドなどから資金を調達しながら自社の株式や事業を買い取り、オーナー経営者として独立する手法です。上場企業が非公開化する際や、事業承継の一つの選択肢として用いられることがあります。

他の選択肢が誤りの理由
②は外部の投資ファンドのみが株式を買い取り既存の経営陣を全員入れ替えるとしており、経営陣自身が主体となって買収を行うMBOの定義とは異なります。③は従業員全員が均等に株式を割り当てられる制度としており、経営陣が主体となって株式を取得するMBOとは異なる仕組みです。④は新規株式公開(IPO)の説明であり、非公開化を伴うことが多いMBOとは方向性が異なります。
問73-4

M&Aにおける「のれん」と「シナジー」の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①のれんは必ず対象企業の純資産を下回る金額として発生し、シナジーとは無関係の会計処理である。
  • ②シナジーが実現しない場合であっても、のれんの価値が減少することは制度上あり得ない。
  • ③のれんは、対象企業が保有する現金及び預金の残高のみを基準として算定される金額である。
  • ④取得対価が対象企業の時価純資産を上回る差額がのれんで、シナジー実現が投資回収の鍵となる。
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正解 ④取得対価が対象企業の時価純資産を上回る差額がのれんで、シナジー実現が投資回収の鍵となる。
解説
M&Aにおける「のれん」は、買収の取得対価が対象企業の時価純資産を上回る場合に生じる差額であり、対象企業のブランド力や技術力、将来の収益力などへの期待を反映した金額とされます。買収後に期待したシナジー効果が実現できるかどうかが、のれんに見合う投資回収ができるかを左右する鍵となります。

他の選択肢が誤りの理由
①はのれんが必ず時価純資産を下回る金額として発生するとしていますが、実際には取得対価が時価純資産を上回る場合に生じる金額であり誤りです。②はのれんの価値が制度上減少しないとしていますが、実際にはシナジーが実現せず収益性が見込みを下回ると、のれんの減損処理が行われることがあるため誤りです。③はのれんを現金及び預金の残高のみで算定するとしていますが、実際には取得対価と時価純資産の差額として算定されるため誤りです。
問83-4

M&Aを事業上の関係性によって分類する場合の記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①水平型M&Aは取引先である川上・川下の企業を対象とし、垂直型M&Aは同業他社を対象とする。
  • ②水平型M&Aは同業他社を対象とし、垂直型M&Aは取引先である川上・川下の企業を対象とする。
  • ③水平型M&Aと垂直型M&Aは、いずれも既存事業と無関係な業種の企業のみを対象とする。
  • ④垂直型M&Aと多角化型M&Aは、いずれも必ず同業他社のみを対象として行われる。
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正解 ②水平型M&Aは同業他社を対象とし、垂直型M&Aは取引先である川上・川下の企業を対象とする。
解説
M&Aは事業上の関係性によって、同業他社を対象とする水平型M&A、原材料の仕入先や販売先など取引関係にある川上・川下の企業を対象とする垂直型M&A、既存事業と関連の薄い分野の企業を対象とする多角化型M&Aなどに分類されます。水平型は規模の経済やシェア拡大、垂直型はサプライチェーンの安定化などをそれぞれ主な狙いとします。

他の選択肢が誤りの理由
①は水平型と垂直型の対象を入れ替えて説明しており誤りです。③は水平型・垂直型のいずれも既存事業と無関係な業種のみを対象とするとしていますが、これは多角化型M&Aの特徴であり誤りです。④は垂直型・多角化型のいずれも同業他社のみを対象とするとしていますが、垂直型は取引関係にある企業、多角化型は関連の薄い分野の企業を対象とするため誤りです。
問93-4

M&A成立後の「PMI(統合プロセス)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①PMIとは、M&Aの交渉を開始する前段階で行う、対象企業の財務状況の調査手続きのことである。
  • ②PMIが不要な統合はなく、実施の有無にかかわらずM&Aの成果に影響を与えることはない。
  • ③組織や業務プロセス、企業文化などを統合する取り組みで、M&A成果を左右する重要な工程である。
  • ④PMIは、M&Aにおける買収対価の算定にのみ用いられる評価手法であり、統合作業とは無関係である。
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正解 ③組織や業務プロセス、企業文化などを統合する取り組みで、M&A成果を左右する重要な工程である。
解説
PMI(Post Merger Integration)は、M&Aの契約成立後に、組織体制・業務プロセス・情報システム・企業文化などを買い手企業と対象企業との間で統合していく一連の取り組みを指します。M&A自体の成立がゴールではなく、PMIを通じて期待したシナジーを実際に引き出せるかどうかが、M&Aの成果を大きく左右する重要な工程とされています。

他の選択肢が誤りの理由
①はM&Aの交渉開始前に行う財務調査(デューデリジェンス)の説明であり、契約成立後に行うPMIとは実施の時期も内容も異なります。②はPMIの実施の有無がM&Aの成果に影響を与えないとしていますが、実際にはPMIの巧拙がシナジー実現の可否を左右するため誤りです。④はPMIを買収対価の算定にのみ用いる評価手法としていますが、対価算定はデューデリジェンス等の役割であり、PMIは統合作業そのものを指すため誤りです。
問103-4

企業提携の一形態である「ライセンシング」と「フランチャイズ」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①いずれも対価を得て商標や技術、事業の仕組みなどを他社に使用させる契約形態である。
  • ②いずれも対象企業の株式を取得し、経営権を掌握することを前提とした契約形態である。
  • ③いずれも複数の企業が一つの法人格に統合されることを前提とした契約形態である。
  • ④いずれも契約の相手方に対して、一切の対価を求めずに技術を提供する契約形態である。
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正解 ①いずれも対価を得て商標や技術、事業の仕組みなどを他社に使用させる契約形態である。
解説
ライセンシングは自社が持つ商標権や特許などの技術を、フランチャイズは商標に加えて店舗運営のノウハウや事業の仕組み全体を、いずれも対価(ロイヤリティ等)を得て他社に使用・展開させる契約形態です。株式の取得や資本参加を伴わずに、自社の無形資産を活用して事業を拡大できる点に特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
②はいずれも株式取得による経営権の掌握を前提とするとしていますが、ライセンシングやフランチャイズは資本関係を伴わずに契約のみで展開できる点に特徴があり誤りです。③はいずれも法人格の統合を前提とするとしていますが、両者とも契約の相手方は別法人のまま独立して事業を行うため誤りです。④はいずれも対価を求めずに技術を提供するとしていますが、実際にはロイヤリティなどの対価を得て使用させる契約であるため誤りです。

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