2026年版・3-3

成長戦略と多角化の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「企業経営理論」から、成長戦略と多角化に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問13-3

アンゾフが提示した成長ベクトルにおける4つの戦略の分類軸として、最も適切なものはどれか。

  • ①売上高が増加か減少か、利益率が上昇か低下かという2つの軸で4つの成長戦略に分類する。
  • ②製品と市場のそれぞれについて既存か新規かという2つの軸により4つの成長戦略に分類する。
  • ③自社が単独か提携かということと、投資額の大小という2つの軸で4つの成長戦略に分類する。
  • ④国内市場か海外市場かと、業界の成長か成熟かという2つの軸で4つの成長戦略に分類する。
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正解 ②製品と市場のそれぞれについて既存か新規かという2つの軸により4つの成長戦略に分類する。
解説
アンゾフは、企業の成長戦略を「製品」と「市場」という2つの軸で捉え、それぞれを既存のものか新規のものかに分けることで、市場浸透・新製品開発・新市場開拓・多角化という4つの成長戦略に分類する成長ベクトルの考え方を提示しました。既存の事業からどの方向へ成長を目指すかを整理する枠組みとして広く用いられています。

他の選択肢が誤りの理由
①は売上高や利益率の増減という財務指標を軸としており、アンゾフが用いた製品・市場という軸とは異なります。③は単独か提携かということと投資額の大小を軸としており、成長ベクトルの分類軸とは異なります。④は国内か海外か、業界の成長・成熟という軸であり、いずれもアンゾフの成長ベクトルの分類軸とは異なります。
問23-3

アンゾフの成長ベクトルにおける「市場浸透戦略」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①既存の製品を、既存の市場においてより深く浸透させ、販売数量の拡大を図る戦略である。
  • ②既存の製品に技術的な改良を加え、これまでにない新しい市場へ投入しようとする戦略である。
  • ③自社にとって新しい製品を開発し、既存の顧客基盤に対して販売しようとする戦略である。
  • ④既存の事業とは異なる分野の新しい製品を、新しい市場に投入しようとする戦略である。
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正解 ①既存の製品を、既存の市場においてより深く浸透させ、販売数量の拡大を図る戦略である。
解説
市場浸透戦略は、既存の製品を既存の市場においてこれまで以上に浸透させ、販売数量やシェアの拡大を図る戦略です。広告宣伝の強化や販売価格の見直し、購入頻度を高める施策などを通じて、既存の枠組みの中で成長を目指す、比較的リスクの低い成長戦略とされます。

他の選択肢が誤りの理由
②は既存製品を新しい市場に投入する「新市場開拓戦略」に近い内容であり、市場浸透戦略の説明としては誤りです。③は既存の顧客基盤に新しい製品を投入する「新製品開発戦略」の説明であり誤りです。④は新しい製品を新しい市場に投入する「多角化戦略」の説明であり、市場浸透戦略とは異なります。
問33-3

アンゾフが示した成長戦略の一類型である「新製品開発戦略」の内容として、最も適切なものはどれか。

  • ①既存の製品を、これまでと同じ市場でより深く浸透させ、販売数量の拡大を目指す戦略である。
  • ②既存の製品を大きく変えないまま、これまで取引のなかった新しい市場へ投入する戦略である。
  • ③既存の顧客基盤に対して、これまでにない新しい製品を開発し販売しようとする戦略である。
  • ④自社にとって未経験の製品分野へ、新しい市場を通じて初めて進出しようとする戦略である。
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正解 ③既存の顧客基盤に対して、これまでにない新しい製品を開発し販売しようとする戦略である。
解説
新製品開発戦略は、既存の顧客基盤や市場に対して、これまで自社が扱っていなかった新しい製品を開発して投入する戦略です。既存の顧客との関係や自社ブランドへの信頼を生かしながら、新たな製品ラインで売上の拡大を図る点に特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
①は既存の製品を同じ市場でさらに浸透させる「市場浸透戦略」の説明であり誤りです。②は既存の製品を新しい市場に投入する「新市場開拓戦略」の説明であり誤りです。④は未経験の製品を未経験の市場に投入する「多角化戦略」に近い内容であり、新製品開発戦略の説明としては誤りです。
問43-3

既存製品か新製品か、既存市場か新市場かという枠組みのうち「新市場開拓戦略」に該当する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①既存の製品を、これまでと同じ市場でより深く浸透させ、販売数量の拡大を目指す戦略である。
  • ②既存の顧客基盤に対して、これまでにない新しい製品を開発し販売しようとする戦略である。
  • ③自社にとって未経験の新しい製品を、未経験の新しい市場に投入しようとする戦略である。
  • ④既存の製品を大きく変えないまま、これまで取引のなかった新しい市場へ投入する戦略である。
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正解 ④既存の製品を大きく変えないまま、これまで取引のなかった新しい市場へ投入する戦略である。
解説
新市場開拓戦略は、既存の製品そのものは大きく変えずに、これまで取引のなかった新しい地域や新しい顧客層といった新市場へ投入する戦略です。海外展開や、これまでと異なる年齢層・業種への販路拡大などが典型例です。

他の選択肢が誤りの理由
①は既存の製品を既存の市場でさらに浸透させる「市場浸透戦略」の説明であり誤りです。②は既存の顧客基盤に新しい製品を投入する「新製品開発戦略」の説明であり誤りです。③は新しい製品を新しい市場に投入する「多角化戦略」の説明であり、新市場開拓戦略とは異なります。
問53-3

多角化戦略の類型に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①水平型多角化は、既存の技術や市場との関連が薄い、全く異なる分野へ進出する多角化である。
  • ②垂直型多角化は、原材料の調達から製造・販売に至る一連の工程へ事業を広げる多角化である。
  • ③集中型多角化は、既存の顧客層に対し、技術的関連の薄い新しい製品を提供する多角化である。
  • ④集成型多角化は、既存の技術や市場と関連性の高い分野に限定して進出する多角化である。
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正解 ②垂直型多角化は、原材料の調達から製造・販売に至る一連の工程へ事業を広げる多角化である。
解説
垂直型多角化は、原材料の調達から製造、物流、販売に至るバリューチェーンの上流・下流へと事業領域を広げていく多角化であり、前方統合・後方統合とも関連する考え方です。既存事業の工程を自社で内製化・拡張していく点に特徴があります。

他の選択肢が誤りの理由
①は既存の技術・市場との関連が薄い分野へ進出する内容を「水平型」としていますが、これは無関連の分野へ広く進出する「集成型多角化」の説明であり誤りです。③は既存の顧客層に新製品を提供する内容を「集中型」としていますが、これは同一の市場・顧客層に技術的関連の薄い製品を広げる「水平型多角化」の説明であり誤りです。④は既存の技術・市場と関連性の高い分野への進出を「集成型」としていますが、これは技術や市場のシナジーを生かして関連分野へ進出する「集中型多角化」の説明であり誤りです。
問63-3

企業の多角化や事業拡大に伴う「シナジー効果」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①複数の事業を営むことで、単独で営む場合よりも管理コストが増加することをいう。
  • ②単一の製品を大量に生産することで、製品単位あたりのコストが低下することをいう。
  • ③複数の事業を営むことで、単独で営む場合の合計以上の効果を生み出すことをいう。
  • ④累積生産量の増加に伴い、経験の蓄積によって単位コストが逓減していくことをいう。
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正解 ③複数の事業を営むことで、単独で営む場合の合計以上の効果を生み出すことをいう。
解説
シナジー効果とは、複数の事業を組み合わせて営むことにより、それぞれの事業を単独で営んだ場合の成果を単純に合計した以上の相乗効果を生み出すことをいいます。技術やノウハウ、販売チャネル、ブランドなどを事業間で共有・活用することで生まれる効果であり、多角化戦略の重要な狙いの一つです。

他の選択肢が誤りの理由
①は複数事業を営むことでかえって管理コストが増加する内容であり、これはシナジーではなくむしろ多角化のディスシナジー(負の効果)にあたるため誤りです。②は生産量の拡大によるコスト低下であり、これは「規模の経済」の説明でありシナジー効果とは異なる概念です。④は累積生産量の増加によるコスト逓減であり、「経験曲線効果」の説明でありシナジー効果とは異なる概念です。
問73-3

垂直統合における「前方統合」と「後方統合」に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①前方統合と後方統合はいずれも、海外市場への進出のみを意味する統合の方法である。
  • ②前方統合は川上(原材料に近い工程)へ、後方統合は川下(消費者に近い工程)へ事業を広げる。
  • ③前方統合と後方統合は、いずれも競合他社の買収のみによって実現される統合方法である。
  • ④前方統合は川下(消費者に近い工程)へ、後方統合は川上(原材料に近い工程)へ事業を広げる。
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正解 ④前方統合は川下(消費者に近い工程)へ、後方統合は川上(原材料に近い工程)へ事業を広げる。
解説
垂直統合のうち、原材料の調達から自社製品の製造を経て消費者へ届くまでの流れにおいて、消費者に近い川下側(卸売・小売・物流など)へ事業を広げることを前方統合、原材料や部品に近い川上側へ事業を広げることを後方統合といいます。自社が担う工程の範囲を広げることで、供給や販路の安定化などを図る狙いがあります。

他の選択肢が誤りの理由
②は前方統合と後方統合の方向性を正反対に説明しており誤りです。③は買収以外にも新設や提携などの手段によって垂直統合が実現され得るため、買収のみに限定する説明は誤りです。①は垂直統合が工程の川上・川下方向への拡張を指す概念であり、海外市場への進出の有無とは直接関係しないため誤りです。
問83-3

企業が多角化を進める動機に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①既存事業の売上や利益をあえて縮小させ、財務体質を意図的に悪化させる狙いがある。
  • ②既存事業で培った技術やノウハウを一切活用せず、全く独立した経営を目指す狙いがある。
  • ③株主への説明を避けるため、事業内容を意図的に外部から把握しにくくする狙いがある。
  • ④特定の事業への依存リスクを分散させ、経営資源を有効に活用しようとする狙いがある。
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正解 ④特定の事業への依存リスクを分散させ、経営資源を有効に活用しようとする狙いがある。
解説
企業が多角化を進める代表的な動機として、特定の事業や市場への依存によるリスクを複数の事業に分散させることや、既存事業で培った技術・ブランド・販売チャネルといった経営資源を新しい事業分野でも有効に活用し、シナジー効果を得ることなどが挙げられます。

他の選択肢が誤りの理由
①は売上や利益をあえて縮小させ財務体質を悪化させるという内容であり、企業が多角化を進める合理的な動機とはいえず誤りです。②は既存事業の技術やノウハウを一切活用しないとしており、多角化がシナジーを狙って既存資源を活用しようとする点と矛盾します。③は事業内容を外部から把握しにくくする狙いとしており、一般的な多角化の動機として位置づけられるものではなく誤りです。
問93-3

「規模の経済」と「範囲の経済」の違いに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①規模の経済は事業展開に伴う費用低下、範囲の経済は生産量拡大に伴う単位費用の低下を指す。
  • ②規模の経済は生産量拡大に伴う単位費用の低下、範囲の経済は事業展開に伴う費用低下を指す。
  • ③規模の経済も範囲の経済も、生産量の拡大のみによってもたらされる効果とされる。
  • ④規模の経済も範囲の経済も、事業の同時展開のみによってもたらされる効果とされる。
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正解 ②規模の経済は生産量拡大に伴う単位費用の低下、範囲の経済は事業展開に伴う費用低下を指す。
解説
規模の経済は、生産量や事業規模を拡大することによって製品単位あたりの固定費負担が下がり、単位費用が低下する効果を指します。これに対して範囲の経済は、単一の企業が複数の事業を同時に営むことで、経営資源の共有によって別々の企業が個別に営むよりも費用を抑えられる効果を指し、多角化戦略の経済合理性を説明する考え方として用いられます。

他の選択肢が誤りの理由
①は規模の経済と範囲の経済の内容を入れ替えて説明しており誤りです。③は範囲の経済が事業の同時展開によってもたらされる効果である点を無視し、いずれも生産量の拡大のみによるとしており誤りです。④は規模の経済が生産量の拡大によってもたらされる効果である点を無視し、いずれも事業の同時展開のみによるとしており誤りです。
問103-3

多角化が行き過ぎた場合に生じうる負の効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①事業間の関連性が高まりすぎることで、必ず独占禁止法上の問題が生じる場合がある。
  • ②多角化を進めるほど、既存事業の収益性は例外なく必ず向上していく効果がある。
  • ③事業間の関連性の乏しさから経営資源が分散し、かえって非効率を招く場合がある。
  • ④多角化を進めるほど、経営者の意思決定に要する時間は必ず短縮されていく効果がある。
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正解 ③事業間の関連性の乏しさから経営資源が分散し、かえって非効率を招く場合がある。
解説
多角化が行き過ぎると、事業間の関連性が乏しいまま経営資源や経営者の意識が広く分散し、個々の事業への目配りが行き届かなくなって、かえって非効率や収益性の低下を招くことがあります。これは多角化のディスシナジー(負の効果)と呼ばれ、シナジー効果とは反対の現象です。

他の選択肢が誤りの理由
①は事業間の関連性が高まることと独占禁止法上の問題を必然的に結び付けており、多角化のディスシナジーの説明としては誤りです。②は多角化を進めれば収益性が例外なく必ず向上するとしており、行き過ぎた多角化が非効率を招きうるという実態と矛盾します。④は多角化を進めれば意思決定の時間が必ず短縮されるとしていますが、実際には事業が複雑化し意思決定にはむしろ時間を要するようになりやすく、記述は誤りです。

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