2026年版・6-10

IT戦略と情報システムの開発・運用管理の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「経営情報システム」から、IT戦略と情報システムの開発・運用管理に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問16-10

プロジェクトマネジメントに関する国際的な知識体系であるPMBOKの基本的な考え方について、最も適切なものはどれか。

  • ①ウォーターフォールモデルなど、特定の開発モデルの作業手順のみを定めた技術仕様書のことである。
  • ②プロジェクトを立上げ・計画・実行等の段階に分け、複数の観点から進め方を整理した知識体系である。
  • ③IT分野のプロジェクトのみを対象とし、建設業など他分野には応用できない知識体系のことである。
  • ④この知識体系のとおりに進めれば、プロジェクトが必ず成功すると保証している国際規格のことである。
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正解 ②プロジェクトを立上げ・計画・実行等の段階に分け、複数の観点から進め方を整理した知識体系である。
解説
PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)は、米国のPMI(プロジェクトマネジメント協会)が体系化した、プロジェクトマネジメントに関する知識のまとめです。プロジェクトを立上げ・計画・実行・監視/コントロール・終結といった段階に分け、スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスクなど複数の観点から、プロジェクトの進め方を整理している点が特徴です。

他の選択肢が誤りの理由
①はウォーターフォールモデル等の個別の開発モデルの手順を定めたものではなく、PMBOKはより広くプロジェクト全般の進め方を扱う知識体系であるため誤りです。③はPMBOKがIT分野に限らず建設業や製造業など幅広い分野のプロジェクトに応用されている知識体系であるため誤りです。④はPMBOKを参照して進めても、状況や運用次第でプロジェクトが失敗する可能性は残っており、成功を保証する規格ではないため誤りです。
問26-10

PMBOKにおけるスコープマネジメントの基本的な考え方について、最も適切なものはどれか。

  • ①プロジェクトに投入する要員の人数と稼働時間のみを管理し、成果物の範囲は対象に含めない考え方である。
  • ②プロジェクトの実行中に生じた予算超過額を、事後的に会計処理として精算するだけの考え方のことである。
  • ③納期を固定したうえで、成果物の範囲をあらかじめ定めずその都度現場の裁量で決めていく考え方である。
  • ④プロジェクトで作成する成果物や作業の範囲を明確にし、不要な拡大を防ぎながら管理する考え方である。
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正解 ④プロジェクトで作成する成果物や作業の範囲を明確にし、不要な拡大を防ぎながら管理する考え方である。
解説
スコープマネジメントは、プロジェクトで作成すべき成果物(プロダクトスコープ)や、それを完成させるために必要な作業(プロジェクトスコープ)の範囲を明確に定義し、関係者間で合意した範囲を超えて対象がなし崩し的に拡大する、いわゆるスコープクリープを防ぎながら管理する活動です。範囲が曖昧なまま進めると、追加の作業や成果物が際限なく積み重なり、納期や予算の超過につながりやすくなります。

他の選択肢が誤りの理由
①は要員の人数や稼働時間の管理であり、資源マネジメントに近い内容であって、成果物や作業の範囲を扱うスコープマネジメントの説明ではないため誤りです。②は予算超過の事後精算に関する説明であり、コストマネジメントに近い内容であって、範囲を管理するスコープマネジメントの説明ではないため誤りです。③はスコープマネジメントが成果物や作業の範囲をあらかじめ明確に定義することを重視する考え方であるにもかかわらず、範囲を定めず現場の裁量に委ねるとしている点で誤りです。
問36-10

プロジェクトのスケジュール管理で用いられるマイルストーンについて、最も適切なものはどれか。

  • ①工程の節目となる重要な予定日を指し、所要期間を持たない点として扱われることが多い。
  • ②各作業に投入する要員の人数と、その人件費の総額のみを一覧で表す指標のことである。
  • ③プロジェクトの成果物を、利用者が使用できる状態まで分解して整理した一覧のことである。
  • ④発生する可能性のあるリスクの一覧と、その発生確率や影響度のみをまとめた台帳のことである。
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正解 ①工程の節目となる重要な予定日を指し、所要期間を持たない点として扱われることが多い。
解説
マイルストーンは、要件定義の完了や中間成果物の納品など、プロジェクトの進捗上の重要な節目となる予定日を指します。作業そのものではなく特定の時点(イベント)を表すため、それ自体は所要期間を持たない点として扱われることが多く、進捗状況を関係者間で確認する目安として活用されます。

他の選択肢が誤りの理由
②は要員数と人件費総額を表す説明であり、コストマネジメントや資源マネジメントに関する指標であって、進捗の節目を表すマイルストーンの説明ではないため誤りです。③は成果物を分解して整理した一覧であるWBSの説明であり、マイルストーンの説明ではないため誤りです。④はリスクとその発生確率をまとめた台帳の説明であり、進捗の節目を表すマイルストーンの説明ではないため誤りです。
問46-10

情報システムへの投資の効果を評価する際の基本的な考え方について、最も適切なものはどれか。

  • ①業務の処理時間短縮など数値化しやすい効果のみを評価し、数値化しにくい効果は一切評価しない考え方である。
  • ②情報システムの初期導入費用のみに着目して評価し、導入後の運用や保守にかかる費用は評価に含めない。
  • ③業務の処理時間短縮など数値化しやすい効果に加え、顧客満足度向上等の数値化しにくい効果も評価する。
  • ④投資額の全額を必ず1年以内に金銭的効果で回収できるかどうかのみを基準に評価するという考え方である。
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正解 ③業務の処理時間短縮など数値化しやすい効果に加え、顧客満足度向上等の数値化しにくい効果も評価する。
解説
情報システムへの投資の効果は、業務処理時間の短縮やコスト削減額など、金額や件数で数値化しやすい定量的効果だけでなく、顧客満足度の向上、従業員の働きやすさの改善、意思決定の迅速化といった、数値化が難しい定性的効果もあわせて評価する必要があるとされています。定量的効果のみに偏ると、情報システムが本来もたらす価値を過小評価してしまうおそれがあります。

他の選択肢が誤りの理由
①は定性的効果を評価対象から除外しており、定量・定性の両面から評価すべきという基本的な考え方に反するため誤りです。②は初期導入費用のみに着目しており、運用や保守にかかる費用も含めて評価すべきであるという考え方に反するため誤りです。④は投資の回収を一律1年以内の金銭的効果のみで判断するとしていますが、情報システムの効果は必ずしも短期間かつ金銭的な形だけで現れるとは限らないため誤りです。
問56-10

情報システムに関連する費用を包括的にとらえるTCO(Total Cost of Ownership、総所有コスト)について、最も適切なものはどれか。

  • ①導入時の初期費用に加え、運用・保守や廃棄までにかかる費用を含めた総額でとらえる考え方のことである。
  • ②情報システムの開発や購入にかかる初期費用のみを合計した金額を指すとする考え方のことである。
  • ③情報システムを廃棄する際に発生する費用のみに着目し、それ以外の費用は対象に含めない考え方である。
  • ④情報システムの利用者数が増えるほど、総所有コストは必ず初期費用に比例して減少するとする考え方である。
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正解 ①導入時の初期費用に加え、運用・保守や廃棄までにかかる費用を含めた総額でとらえる考え方のことである。
解説
TCO(総所有コスト)は、情報システムの開発や購入にかかる初期費用(イニシャルコスト)だけでなく、導入後の運用・保守・管理にかかる費用(ランニングコスト)や、利用終了時の撤去・廃棄にかかる費用まで含めた、システムに関連する費用の総額でとらえる考え方です。初期費用が安くても、運用や保守に多額の費用がかかれば、TCOで見ると割高になる場合があります。

他の選択肢が誤りの理由
②は初期費用のみに着目しており、運用・保守や廃棄までの費用を含めて総額をとらえるTCOの考え方に反するため誤りです。③は廃棄費用のみに着目しており、初期費用や運用・保守費用を含めないとする点でTCOの考え方に反するため誤りです。④はTCOが利用者数や利用状況によって変動し得るものであり、必ず初期費用と比例して減少すると一律に言えるものではないため誤りです。
問66-10

情報システムの運用を外部の事業者に委託する際に締結されるSLA(Service Level Agreement)について、最も適切なものはどれか。

  • ①委託先の事業者が負う損害賠償責任の上限額のみを定める契約書であり、サービスの品質水準は扱わない。
  • ②稼働率や障害対応時間などサービスの品質水準について、委託者と受託者があらかじめ合意する取決めである。
  • ③委託者と受託者との間で、業務の全工程を受託者に丸ごと引き継がせることのみを定めた契約書のことである。
  • ④サービスの品質水準を定めた後は、契約期間中に内容を見直すことが一切認められないとする取決めである。
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正解 ②稼働率や障害対応時間などサービスの品質水準について、委託者と受託者があらかじめ合意する取決めである。
解説
SLA(サービスレベルアグリーメント)は、情報システムの運用などを外部の事業者に委託する際に、システムの稼働率、障害発生時の対応時間、応答速度といった、提供されるサービスの品質水準について、委託者(利用者)と受託者(提供者)があらかじめ合意しておく取決めです。水準を明確にしておくことで、委託後のトラブルを防ぎ、達成できなかった場合の対応もあわせて定めておくことができます。

他の選択肢が誤りの理由
①は損害賠償責任の上限額のみを定める説明であり、サービスの品質水準そのものを定めるSLAの主眼とは異なるため誤りです。③は業務の全工程を丸ごと引き継がせる取決めの説明であり、品質水準について合意するSLAの説明としては誤りです。④はSLAが運用状況の変化に応じて内容を見直す場合があるものであり、契約期間中の見直しを一切認めないという説明は実務上の運用実態に反するため誤りです。
問76-10

業務プロセスを外部に委託するBPO(Business Process Outsourcing)と、情報システムに関する業務を外部に委託するITアウトソーシングとの関係について、最も適切なものはどれか。

  • ①BPOとITアウトソーシングは、対象とする業務範囲が全く同じであり、両者を区別する実益はない考え方である。
  • ②ITアウトソーシングは、情報システムに関する業務だけでなく、経理や人事等の業務プロセスも常に対象に含む。
  • ③BPOは、情報システムの開発や運用等、情報システムに関する業務のみを対象とする委託形態のことである。
  • ④BPOは経理や人事等を含む幅広い業務を対象とし、ITアウトソーシングは情報システムに特化した形態である。
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正解 ④BPOは経理や人事等を含む幅広い業務を対象とし、ITアウトソーシングは情報システムに特化した形態である。
解説
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は、経理、人事、コールセンター業務など、企業活動における業務プロセスの一部または全部を、情報システムに関する業務に限らず幅広く外部の専門事業者に委託する形態です。これに対し、ITアウトソーシングは、情報システムの開発、運用、保守といった情報システムに関する業務に特化して外部委託する形態であり、ITアウトソーシングはBPOに含まれる一分野として位置付けられます。

他の選択肢が誤りの理由
①はBPOが情報システム以外の業務プロセスも幅広く対象とするのに対し、ITアウトソーシングは情報システムに関する業務に特化するという範囲の違いがあるため誤りです。②はITアウトソーシングが情報システムに関する業務に特化した委託形態であり、経理や人事等を含む全社の業務プロセスを常に対象に含むわけではないため誤りです。③はBPOが情報システムに関する業務に限定されず、経理や人事等を含む幅広い業務プロセスを対象とする委託形態であるため誤りです。
問86-10

情報システムの開発を外部の事業者に委託する際に用いられる請負契約と準委任契約に関する記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  • ①請負契約は成果物を完成させる義務を負う契約であり、仕様が確定している工程になじみやすいとされる。
  • ②準委任契約であっても、請負契約の場合と全く同様に、成果物を完成させる義務を常に負うとされている。
  • ③準委任契約における受託者の主な義務は、善良な管理者の注意をもって業務を遂行する善管注意義務である。
  • ④要件定義工程は、着手時点で成果物を具体的に想定しづらいことから、準委任契約になじみやすいとされる。
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正解 ②準委任契約であっても、請負契約の場合と全く同様に、成果物を完成させる義務を常に負うとされている。
解説
準委任契約は、請負契約とは異なり、受託者が成果物の完成を約束するものではなく、善良な管理者の注意をもって業務を遂行する善管注意義務を負うにとどまる契約類型です。したがって「準委任契約であっても請負契約と全く同様に成果物の完成義務を常に負う」とする記述は、両契約類型の基本的な違いを否定するものであり、事実に反するため本問の正解(最も不適切な記述)となります。

他の選択肢が正しい理由
①は請負契約が成果物の完成義務を負う契約であり、仕様が確定している設計・開発工程などになじみやすいとされる実務上の整理を正しく述べています。③は準委任契約における受託者の義務が、成果物の完成ではなく善管注意義務であるという基本的な違いを正しく述べています。④は要件定義工程が着手時点では成果物を具体的に想定しづらく、状況の変化にも対応しやすい準委任契約になじみやすいとされる実務上の整理を正しく述べています。
問96-10

情報システムに関する経営陣の役割を示すITガバナンスの基本的な考え方について、最も適切なものはどれか。

  • ①経営陣が主体となり、情報システム戦略の策定と実現を通じて、組織の価値向上を目指す能力のことである。
  • ②情報システム部門の担当者のみが取り組むべき課題であり、経営陣は関与しなくてよいとする考え方である。
  • ③情報システムを提供するベンダー企業が、顧客企業に代わって経営方針そのものを決定する仕組みを指す考え方である。
  • ④情報システムへの投資を一切行わず、既存のシステムを更新しないまま維持し続けることを推奨する考え方である。
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正解 ①経営陣が主体となり、情報システム戦略の策定と実現を通じて、組織の価値向上を目指す能力のことである。
解説
ITガバナンスは、経営陣が主体となって、情報システムのあるべき姿を示す情報システム戦略の策定と実現に関わり、組織の価値を高めていくための組織的な能力を指す考え方です。情報システム部門任せにせず、経営陣が主導して情報システムへの投資や活用の方向性を意思決定に反映させる点が特徴です。

他の選択肢が誤りの理由
②はITガバナンスが経営陣の主体的な関与を前提とする考え方であるにもかかわらず、情報システム部門の担当者のみが取り組むとしているため誤りです。③はITガバナンスが委託先のベンダー企業ではなく、あくまで委託者である企業自身の経営陣が主体となって情報システム戦略に関わる考え方であるため誤りです。④はITガバナンスが情報システムへの投資や活用の方向性を経営陣が積極的に意思決定していく考え方であり、投資を一切行わず現状維持を推奨する考え方ではないため誤りです。
問106-10

情報システムの信頼性や安全性等を検証するシステム監査について、最も適切なものはどれか。

  • ①システム監査は、監査対象となる情報システムを開発した部署自身が担当することが原則であるとされている。
  • ②システム監査は、発見した技術的な不具合をその場で直接修正する保守作業そのものを指す言葉である。
  • ③独立した立場の監査人が一定の基準に基づき検証・評価を行い、保証や改善のための助言を行う活動である。
  • ④システム監査は、情報システムを新規に開発する工程でのみ実施され、運用中のシステムは対象としない。
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正解 ③独立した立場の監査人が一定の基準に基づき検証・評価を行い、保証や改善のための助言を行う活動である。
解説
システム監査は、独立した立場にあるシステム監査人が、一定の基準に基づいて情報システムに関するリスクへの対策(コントロール)が適切に整備・運用されているかを検証・評価し、その結果をもとに保証を与えたり、改善のための助言を行ったりする活動です。経営陣が主導するITガバナンスの実現に寄与する取組みと位置付けられています。

他の選択肢が誤りの理由
①はシステム監査が監査対象から独立した立場の監査人によって行われることを重視する活動であるにもかかわらず、開発した部署自身が担当するとしている点で誤りです。②はシステム監査が検証・評価とそれに基づく保証・助言を行う活動であり、不具合をその場で直接修正する保守作業そのものではないため誤りです。④はシステム監査が新規開発時だけでなく、運用中の情報システムについても実施される活動であるため誤りです。

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