2026年版・2-7

資金調達と資本コストの一問一答

中小企業診断士(一次試験)「財務・会計」から、資金調達と資本コストに関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-7

企業の資金調達方法における直接金融と間接金融に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①銀行からの借入は、投資家から証券市場を通じて直接資金を調達する直接金融に分類される。
  • ②株式や社債の発行による資金調達は、金融機関を仲介して資金を調達する間接金融に分類される。
  • ③間接金融では、金融機関が資金の出し手と借り手の間に立ち、自らの信用で資金を仲介する。
  • ④直接金融と間接金融のいずれで調達した資金も、貸借対照表上は必ず負債の部に計上される。
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正解 ③間接金融では、金融機関が資金の出し手と借り手の間に立ち、自らの信用で資金を仲介する。
解説
間接金融は、銀行などの金融機関が、資金の出し手(預金者など)と資金の借り手(企業など)との間に立ち、自らの信用力に基づいて資金を仲介する方式です。銀行借入はこの典型例です。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。銀行からの借入は、金融機関が仲介する間接金融に分類されます。②は誤りです。株式や社債の発行は、投資家から証券市場を通じて直接資金を調達する直接金融に分類されます。④は誤りです。株式の発行によって調達した資金は、貸借対照表上、負債の部ではなく純資産の部に計上されます。
問22-7

株式の発行による資金調達(エクイティファイナンス)の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①株式による調達は、負債と異なり返済義務や確定利息の支払義務がなく、自己資本比率の向上にも寄与する。
  • ②株式による調達は、負債による調達と同様に、あらかじめ定められた期日までに元本を返済する義務を負う。
  • ③株式を新たに発行しても、既存株主の持株比率は変わらず、1株当たり利益(EPS)が希薄化することもない。
  • ④株式による調達に伴う配当の支払いは、負債の利息と同様に、損金として法人税の計算上控除できる。
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正解 ①株式による調達は、負債と異なり返済義務や確定利息の支払義務がなく、自己資本比率の向上にも寄与する。
解説
株式による資金調達は、借入や社債のような負債による調達と異なり、返済義務や確定利息の支払義務がありません。調達した資金は貸借対照表上、純資産(自己資本)として計上されるため、自己資本比率の向上にも寄与します。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りです。株式による調達には、負債のような元本の返済義務はありません。③は誤りです。新株を発行すると、発行済株式数が増加するため、既存株主の持株比率や1株当たり利益(EPS)が希薄化することがあります。④は誤りです。配当の支払いは、負債の利息とは異なり、法人税の計算上、損金として控除することはできません。
問32-7

社債による資金調達の特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①社債の発行によって調達した資金は、貸借対照表上、常に純資産の部に計上されるとされている。
  • ②社債は、株式と同様に、発行企業の業績にかかわらず配当という形で利益還元する必要がある。
  • ③社債は、銀行借入(間接金融)の一種であり、証券市場を通じて調達される直接金融には該当しない。
  • ④社債の利息は、契約で定められた条件に基づいて支払われ、業績にかかわらず支払義務が生じる。
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正解 ④社債の利息は、契約で定められた条件に基づいて支払われ、業績にかかわらず支払義務が生じる。
解説
社債の利息は、発行時にあらかじめ定められた利率や支払期日などの条件に基づいて支払われる契約上の債務であり、発行企業の業績が悪化した場合であっても、原則として支払義務が生じます。この点で、業績に応じて支払うかどうかを判断できる配当とは異なります。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。社債によって調達した資金は負債であり、貸借対照表上は負債の部に計上されます。②は誤りです。社債の保有者(社債権者)に対しては配当ではなく利息が支払われます。③は誤りです。社債は、証券市場を通じて投資家から直接資金を調達する直接金融の一種です。
問42-7

ある企業の資本構成は、有利子負債の時価が4億円、株式時価総額が6億円である。負債コスト(税引後)は3%、株主資本コストは8%である。加重平均資本コスト(WACC)として正しいものはどれか。

  • ①5.5%
  • ②6.0%
  • ③5.0%
  • ④6.8%
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正解 ②6.0%
解説
WACC(加重平均資本コスト)は、負債と株式それぞれの時価による構成比率で、それぞれのコストを加重平均して計算します。本問では、総資本(4億円+6億円=10億円)に占める負債の割合は40%、株式の割合は60%です。WACC=40%×3%+60%×8%=1.2%+4.8%=6.0%となります。

他の選択肢が誤りの理由
①の5.5%は、負債コストと株主資本コストを構成比率で加重せず単純に平均した((3%+8%)÷2)値です。③の5.0%は、負債と株式の構成比率を逆にして計算した(60%×3%+40%×8%)場合に生じる値です。④の6.8%は、負債コストを3%ではなく5%として計算した場合に生じる値です。
問52-7

CAPM(資本資産評価モデル)に基づき、ある企業の株主資本コストを計算する。リスクフリーレートは1%、株式市場全体の期待収益率は6%、この企業株式のベータ値は1.4である。株主資本コストとして正しいものはどれか。

  • ①7%
  • ②9.4%
  • ③8%
  • ④6%
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正解 ③8%
解説
CAPMでは、株主資本コスト=リスクフリーレート+β×(市場全体の期待収益率-リスクフリーレート)という式で計算します。本問ではリスクフリーレート1%、市場全体の期待収益率6%、ベータ値1.4として、株主資本コスト=1%+1.4×(6%-1%)=1%+1.4×5%=1%+7%=8%となります。

他の選択肢が誤りの理由
①の7%は、リスクフリーレートを加算するのを忘れ、β×リスクプレミアム(1.4×5%=7%)の部分のみを株主資本コストとしてしまった値です。②の9.4%は、リスクフリーレートを差し引かずに市場全体の期待収益率6%にベータ値1.4を掛けてリスクフリーレートを加算した場合に生じる値です。④の6%は、市場全体の期待収益率をそのまま株主資本コストとしてしまい、CAPMの計算式を用いていない値です。
問62-7

ある企業の借入金の利率(税引前)は4%であり、実効税率は30%である。負債コスト(税引後)として正しいものはどれか。

  • ①2.8%
  • ②4%
  • ③1.2%
  • ④5.2%
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正解 ①2.8%
解説
負債の利息は損金として法人税の計算上控除できるため(税金の節約効果、タックスシールド)、実質的な負債コストは税引後の金額で考えます。税引後負債コスト=利率×(1-実効税率)で計算し、本問では4%×(1-30%)=4%×0.7=2.8%となります。

他の選択肢が誤りの理由
②の4%は、税引前の利率そのものであり、負債の利払いによる節税効果(タックスシールド)を考慮していません。③の1.2%は、利率4%に実効税率30%を掛けた、税金の節約額に相当する部分のみを答えてしまった値です。④の5.2%は、(1-実効税率)ではなく(1+実効税率)を掛けてしまった場合に生じる値です。
問72-7

モジリアーニ・ミラー理論(MM理論)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①MM理論(税金のない完全市場を仮定した命題)によれば、企業価値は資本構成によって大きく変動する。
  • ②MM理論(税金のない完全市場を仮定した命題)によれば、負債比率を高めるほどWACCは上昇し続ける。
  • ③MM理論は、法人税が存在する場合であっても、負債による節税効果を一切考慮する必要がないとする。
  • ④MM理論(税金のない完全市場の仮定)によれば、一定条件のもとで企業価値は資本構成の影響を受けない。
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正解 ④MM理論(税金のない完全市場の仮定)によれば、一定条件のもとで企業価値は資本構成の影響を受けない。
解説
モジリアーニ・ミラー理論(MM理論)は、税金のない完全市場という一定の仮定のもとでは、企業価値は資本構成(負債と自己資本の比率)の影響を受けず一定であるとする命題(資本構成の無関連命題)を示したことで知られています。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。MM理論の基本命題は、むしろ資本構成が企業価値に影響を与えないとするものです。②は誤りです。税金のない世界を前提とするMM理論では、負債比率が高まるにつれて株主資本コストは上昇しますが、その分だけWACCは一定に保たれるとされます。③は誤りです。法人税が存在する現実の世界を前提とした修正MM理論では、負債の利子には節税効果(タックスシールド)があり、負債の活用が企業価値を高めうることが示されています。
問82-7

財務レバレッジ(負債の活用)の効果に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①総資本利益率(ROA)が負債の調達コストを上回る局面では、負債を活用するほど自己資本利益率は低下する。
  • ②総資本利益率(ROA)が負債の調達コストを上回る局面では、負債を活用するほど自己資本利益率は上昇する。
  • ③財務レバレッジは事業の業績変動リスクを高める効果を持つ一方、株主が負担するリスクには影響しない。
  • ④総資本利益率(ROA)が負債の調達コストを下回る局面でも、負債の活用は自己資本利益率を必ず押し上げる。
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正解 ②総資本利益率(ROA)が負債の調達コストを上回る局面では、負債を活用するほど自己資本利益率は上昇する。
解説
総資本利益率(ROA)が負債の調達コスト(支払利率)を上回っている局面では、借り入れた資金を事業に投じることで得られる利益が、支払う利息を上回るため、その差額が自己資本の取り分として上乗せされ、自己資本利益率(ROE)は負債を活用するほど上昇します(財務レバレッジのプラスの効果)。

他の選択肢が誤りの理由
①は効果の方向が逆であり誤りです。上回る条件のもとでは、負債の活用によりROEは上昇します。③は誤りです。財務レバレッジは、固定的な利払い負担を通じて株主に帰属する利益の変動幅を拡大させるため、株主が負担するリスクを高める効果を持ちます。④は誤りです。ROAが負債の調達コストを下回る局面では、負債の活用はむしろROEを押し下げる方向に働きます(財務レバレッジのマイナスの効果)。
問92-7

自己資本(株主資本)と他人資本(負債)の違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①他人資本は、企業が解散(清算)する際、残余財産の分配において自己資本の提供者より後順位で弁済を受ける。
  • ②自己資本の提供者である株主は、あらかじめ確定した金額の配当を受け取る権利を法律上保障されている。
  • ③他人資本の提供者(債権者)は、企業の業績にかかわらず契約上の元利金支払いを確実に受ける権利を持つ。
  • ④自己資本と他人資本は、貸借対照表上の表示区分が異なるのみで、資金調達コストの高低に違いは生じない。
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正解 ③他人資本の提供者(債権者)は、企業の業績にかかわらず契約上の元利金支払いを確実に受ける権利を持つ。
解説
他人資本(負債)の提供者である債権者は、契約であらかじめ定められた元金や利息の支払いを受ける権利を持ち、企業の業績が好調であっても不調であっても、原則としてこの契約上の権利が優先されます。この点が、業績に応じて配当の有無や金額が変動する自己資本の提供者(株主)との大きな違いです。

他の選択肢が誤りの理由
①は順位が逆であり誤りです。企業の清算時には、債権者(他人資本の提供者)が株主(自己資本の提供者)よりも優先して弁済を受け、株主は残余財産に対する請求権にとどまります。②は誤りです。株主は、確定額の配当を受け取る法律上の権利を保障されているわけではなく、配当の有無や金額は企業の業績や取締役会等の判断に左右されます。④は誤りです。自己資本は他人資本に比べて一般にリスクが高く、資金提供者が要求する期待収益率(資本コスト)も高くなる傾向があります。
問102-7

企業の最適資本構成(負債と自己資本の望ましい構成割合)の考え方に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  • ①法人税が存在する現実の世界では、負債の節税効果と財務的困窮コストとのバランスから最適な資本構成が存在しうる。
  • ②負債比率は高いほど節税効果が際限なく積み上がるため、自己資本をゼロに近づけることが常に望ましいとされる。
  • ③最適資本構成という考え方は、企業がどのような業種・財務状況にあっても一律に同一の負債比率を目指すものである。
  • ④自己資本比率が高い企業ほど、加重平均資本コスト(WACC)は常に他社より高くなるという関係が理論的に成り立つ。
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正解 ①法人税が存在する現実の世界では、負債の節税効果と財務的困窮コストとのバランスから最適な資本構成が存在しうる。
解説
法人税が存在する現実の世界では、負債を増やすほど支払利息による節税効果(タックスシールド)が得られる一方、負債が過大になると倒産の可能性や、それに伴う財務的困窮コスト(取引先の信用低下、資金調達コストの上昇など)が高まります。この節税効果と財務的困窮コストとのトレードオフから、企業価値を最大化する最適な資本構成が存在しうると考えられています。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りです。負債比率を過度に高めると、財務的困窮コストが節税効果を上回るようになるため、自己資本をゼロに近づけることが常に望ましいとはいえません。③は誤りです。最適な資本構成は、業種の特性や事業リスクの大きさ、個々の企業の財務状況などに応じて異なると考えられています。④は誤りです。自己資本比率とWACCの関係は各企業の個別の事情によって左右され、自己資本比率が高い企業のWACCが他社より常に高くなるという一律の関係は成り立ちません。

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