2026年版・1-9

国際経済と為替相場の一問一答

中小企業診断士(一次試験)「経済学・経済政策」から、国際経済と為替相場に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-9

リカードが唱えた比較優位論の考え方について、最も適切な記述はどれか。

  • ①比較優位論によれば、各国が機会費用の低い財の生産に特化し貿易を行うことで、両国とも利益を得られる。
  • ②比較優位論によれば、両財について生産性が相手国より低い国は、貿易によって一切利益を得ることができない。
  • ③比較優位は、各財の生産に必要な絶対的な労働投入量の大小のみによって一意に決定される概念である。
  • ④比較優位論は、両国の生産技術が全ての財について完全に同一であることを常に前提とする理論である。
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正解 ①比較優位論によれば、各国が機会費用の低い財の生産に特化し貿易を行うことで、両国とも利益を得られる。
解説
リカードの比較優位論によれば、各国が自国にとって相対的に機会費用(他の財の生産をどれだけ犠牲にするか)の低い財の生産に特化し、それぞれの財を貿易し合うことで、両国とも自国だけで生産する場合よりも多くの財を消費できるようになり、双方が利益を得られる。

他の選択肢が誤りの理由
②は両方の財について生産性が相手国より低い国であっても、相対的に不利さの小さい財に特化すれば比較優位を持ち、貿易によって利益を得られるとされるのであり、一切利益を得られないという記述は誤りです。③は比較優位は各財の絶対的な労働投入量の大小ではなく、2財間の相対的な生産性(機会費用)の比較によって決まる概念であるため誤りです。④は比較優位論は、両国の間で相対的な生産性(技術水準)に差があることを前提として成立する理論であり、両国の生産技術がすべての財について完全に同一であることを前提とするという記述は、比較優位が生じる余地をなくしてしまうため誤りです。
問21-9

絶対優位と比較優位という2つの概念の違いについて、最も適切な記述はどれか。

  • ①ある国がすべての財について絶対優位を持つ場合、比較優位を持つ財は存在し得ない。
  • ②ある国がすべての財に絶対優位を持つ場合でも、比較優位を持つ財は必ず存在する。
  • ③絶対優位は、2国間における各財の機会費用の大小関係によって決定される概念である。
  • ④アダム・スミスは比較優位論を提唱し、後にリカードが絶対優位論を確立した。
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正解 ②ある国がすべての財に絶対優位を持つ場合でも、比較優位を持つ財は必ず存在する。
解説
比較優位は各財の相対的な機会費用の大小によって決まる概念であるため、ある国がすべての財について絶対優位(絶対的な生産性の高さ)を持っていたとしても、財ごとに相対的な優劣(機会費用の高低)には差が生じる。したがって、そのような国であっても、相対的に機会費用の低い財については必ず比較優位を持つ。

他の選択肢が誤りの理由
①はすべての財に絶対優位を持つ国であっても、財ごとの相対的な機会費用の差から比較優位を持つ財は必ず存在するのであり、存在し得ないという記述は誤りです。③は各財間の相対的な機会費用の大小関係によって決定されるのは絶対優位ではなく比較優位の概念であるため誤りです。④は比較優位論を確立したのはリカードであり、絶対優位論を提唱したのはアダム・スミスであるため、この記述は両者の功績を取り違えており誤りです。
問31-9

自由貿易の利益と関税の効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①小国が輸入品に関税を賦課すると、国内の消費者余剰は増加する一方、国内の生産者余剰は減少する。
  • ②自由貿易への移行は、必ず国内のすべての経済主体の余剰を増加させる、全員が得をする政策である。
  • ③小国が輸入品に関税を賦課すると、国内の消費者余剰は減少する一方、国内の生産者余剰は増加する。
  • ④関税の賦課は、当該財の国内価格をむしろ引き下げ、国内生産量を減少させる効果を持つ。
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正解 ③小国が輸入品に関税を賦課すると、国内の消費者余剰は減少する一方、国内の生産者余剰は増加する。
解説
小国が輸入品に関税を賦課すると、国内価格が世界価格よりも関税分だけ高くなる。これにより、消費者はより高い価格で購入せざるを得なくなるため消費者余剰は減少する一方、国内生産者はより高い価格で販売できるようになるため生産者余剰は増加する。

他の選択肢が誤りの理由
①は関税により国内価格が上昇するため、消費者余剰は減少し生産者余剰は増加するのであり、消費者余剰が増加し生産者余剰が減少するという記述は逆であるため誤りです。②は関税による資源配分の歪みなどにより、自由貿易全体としては純便益(社会全体の余剰)が増加するとされる一方で、輸入と競合する国内生産者のように、自由貿易化によってかえって不利益を被る経済主体も存在し得るため、必ずすべての経済主体が得をするという記述は誤りです。④は関税の賦課は輸入品の国内価格を引き上げ、それによって保護された国内生産量はむしろ増加する効果を持つのであり、国内価格を引き下げ生産量を減少させるという記述は誤りです。
問41-9

国際収支統計における経常収支・金融収支の区分に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①貿易・サービス収支や第一次所得収支は、金融収支を構成する項目に含まれる。
  • ②対外直接投資や証券投資は、経常収支ではなく資本移転等収支を構成する項目である。
  • ③国際収支統計上、経常収支と金融収支の符号(プラス・マイナス)は、常に完全に一致する。
  • ④貿易・サービス収支や第一次所得収支は、経常収支を構成する項目に含まれる。
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正解 ④貿易・サービス収支や第一次所得収支は、経常収支を構成する項目に含まれる。
解説
国際収支統計における経常収支は、財の輸出入を表す貿易収支、サービスの取引を表すサービス収支、雇用者報酬や投資収益を表す第一次所得収支、対価を伴わない資産の提供等を表す第二次所得収支から構成される。

他の選択肢が誤りの理由
①は貿易・サービス収支や第一次所得収支は経常収支を構成する項目であり、金融収支を構成する項目であるという記述は誤りです。②は対外直接投資や証券投資は、対外資産・負債の増減を表す金融収支を構成する項目であり、資本移転等収支(対価を伴わない固定資産の提供等を計上する、規模の小さい項目)を構成するという記述は誤りです。③は国際収支統計上、経常収支・資本移転等収支・金融収支と誤差脱漏の間には一定の恒等関係はあるものの、経常収支と金融収支それぞれの符号が常に完全に一致するとは限らないため誤りです。
問51-9

為替レートの決定理論である購買力平価説について、最も適切な記述はどれか。

  • ①絶対的購買力平価説によれば、為替レートは2国間の物価水準の比によって決定される。
  • ②絶対的購買力平価説によれば、為替レートは2国間の金利水準の比によって決定される。
  • ③相対的購買力平価説によれば、為替レートの変化率は2国間のインフレ率の差と無関係に決まる。
  • ④購買力平価説は、短期的な為替レートの変動を極めて正確に説明できる理論として広く知られている。
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正解 ①絶対的購買力平価説によれば、為替レートは2国間の物価水準の比によって決定される。
解説
絶対的購買力平価説は、一物一価の法則を前提として、為替レートは自国と外国の物価水準の比によって決定されるとする考え方である。例えば同じ商品バスケットが自国で200円、外国で2ドルであれば、為替レートは1ドル=100円になるはずだと考える。

他の選択肢が誤りの理由
②は絶対的購買力平価説は2国間の物価水準の比によって為替レートが決定されると考える理論であり、金利水準の比によって決まるという記述は誤りです。③は相対的購買力平価説は、為替レートの変化率が2国間のインフレ率の差に等しくなると説明する理論であり、インフレ率の差とは無関係に決定されるという記述は理論の趣旨と正反対であるため誤りです。④は購買力平価説は、投機的な資金移動などの影響を受けやすい短期の為替レート変動をうまく説明できないという限界が広く指摘されており、短期の変動を極めて正確に説明できるという記述は誤りです。
問61-9

金利平価説(カバー付き)について、最も妥当な記述はどれか。

  • ①カバー付き金利平価説によれば、2国間の金利差は裁定取引を通じて常にゼロに収束する。
  • ②カバー付き金利平価説では、2国間の金利差は直物・先物為替レートの乖離率とほぼ等しい。
  • ③自国の金利が外国よりも高い場合、カバー付き金利平価では自国通貨は先物で割高になる。
  • ④金利平価説は、為替レートの決定において金利要因を全く一切考慮しないとされる理論である。
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正解 ②カバー付き金利平価説では、2国間の金利差は直物・先物為替レートの乖離率とほぼ等しい。
解説
カバー付き金利平価説とは、為替レートの先物予約によって為替変動リスクをカバー(回避)した場合、2国間の金利差が、直物為替レートと先物為替レートの乖離率(先物プレミアム・ディスカウント率)とほぼ等しくなる、という裁定関係を表す理論である。

他の選択肢が誤りの理由
①はカバー付き金利平価説は金利差と直物・先物レートの乖離率が等しくなることを示す理論であり、金利差自体が常にゼロに収束するという記述は誤りです。③は自国の金利が外国より高い場合、カバー付き金利平価のもとでは、その金利差を打ち消すように自国通貨は先物市場で割安(先物ディスカウント)になるとされるのであり、割高(先物プレミアム)になるという記述は逆であるため誤りです。④は金利平価説はまさに金利差と為替レート(直物・先物)の関係を説明する理論であり、金利要因を一切考慮しないという記述は誤りです。
問71-9

固定相場制と変動相場制に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①変動相場制のもとでは、為替レートを一定水準に維持するための特別な介入が制度上求められる。
  • ②固定相場制のもとでは、金融政策は為替レートの維持という制約から解放され、完全に自由に運営できる。
  • ③固定相場制のもとでは、為替レートを一定水準に維持するために、通貨当局が為替介入を行うことがある。
  • ④変動相場制への移行は、いかなる国においても例外なく、為替レートの安定を必ずもたらす効果を持つ。
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正解 ③固定相場制のもとでは、為替レートを一定水準に維持するために、通貨当局が為替介入を行うことがある。
解説
固定相場制のもとでは、通貨当局(中央銀行等)が為替レートをあらかじめ定めた一定水準に維持する義務を負うため、市場の需給によって為替レートが目標水準から乖離しそうになった場合には、外国為替市場で自国通貨や外貨を売買する為替介入を行うことがある。

他の選択肢が誤りの理由
①は変動相場制のもとでは為替レートは市場の需給に委ねられるのが原則であり、一定水準への維持を目的とした介入が制度上求められるという記述は誤りです。②は固定相場制のもとでは金融政策の運営は為替レートを維持する必要性によって制約を受ける(独自の金融政策を行う自由度が失われる)とされるのであり、制約から解放され完全に自由に運営できるという記述は誤りです。④は変動相場制のもとでは為替レートが市場の需給に応じて変動するため、固定相場制と比べてむしろ為替レートの変動(不安定さ)が大きくなり得るのであり、いかなる国においても安定をもたらすという記述は誤りです。
問81-9

為替レート下落時の貿易収支の調整とJカーブ効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①マーシャル=ラーナー条件が満たされる場合、自国通貨の下落は長期的に貿易収支を悪化させる。
  • ②Jカーブ効果とは、為替レートが下落した直後から、貿易収支が直ちに大きく改善する現象を指す。
  • ③マーシャル=ラーナー条件は、輸出入の数量に関係なく、貿易収支の改善を保証する条件である。
  • ④マーシャル=ラーナー条件が満たされる場合、自国通貨の下落は長期的に貿易収支を改善させる。
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正解 ④マーシャル=ラーナー条件が満たされる場合、自国通貨の下落は長期的に貿易収支を改善させる。
解説
マーシャル=ラーナー条件(自国の輸入需要の価格弾力性と外国の自国製品に対する輸入需要の価格弾力性の和が1を上回るという条件)が満たされる場合、自国通貨の為替レートが下落(減価)すると、長期的には輸出数量の増加と輸入数量の減少を通じて、貿易収支は改善する方向に働く。

他の選択肢が誤りの理由
①はマーシャル=ラーナー条件が満たされる場合、自国通貨の下落は長期的に貿易収支を改善させる方向に働くのであり、悪化させるという記述は逆であるため誤りです。②はJカーブ効果とは、為替レート下落の直後は数量の調整に時間がかかるため貿易収支がむしろ一時的に悪化し、その後時間の経過とともに改善に向かうという(グラフの形がJの字に似ることに由来する)現象を指すのであり、直後から直ちに大きく改善するという記述は誤りです。③はマーシャル=ラーナー条件は、輸出入の価格弾力性の和が1を上回るという特定の条件が満たされる場合に限り貿易収支の改善が期待できることを示す条件であり、数量(弾力性)にかかわらず改善を保証するという記述は誤りです。
問91-9

マンデル=フレミング・モデルにおける変動相場制下の政策効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  • ①小国開放経済の変動相場制で資本移動が自由なら、金融政策は財政政策より有効に働く。
  • ②小国開放経済の変動相場制で資本移動が自由なら、財政政策は金融政策より有効に働く。
  • ③変動相場制のもとで金融緩和政策を行うと、自国通貨は増価し、純輸出は増加する。
  • ④変動相場制のもとで財政政策を拡大すると、自国通貨は減価し、財政政策の効果はさらに強まる。
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正解 ①小国開放経済の変動相場制で資本移動が自由なら、金融政策は財政政策より有効に働く。
解説
資本移動が完全に自由な小国開放経済の変動相場制のもとで金融緩和政策を行うと、国内金利の低下により資本が海外に流出し自国通貨が減価する。この自国通貨安が純輸出を増加させ、国民所得を押し上げる効果を強めるため、変動相場制のもとでは金融政策が財政政策よりも有効に働くとされる。

他の選択肢が誤りの理由
②は変動相場制・資本移動自由のもとでは、財政政策拡大時の金利上昇が資本流入と自国通貨高を招き、純輸出の減少を通じて財政政策の効果が相殺される(クラウディングアウトが生じる)ため、財政政策よりも金融政策の方が有効とされ、財政政策の方が有効であるという記述は逆であるため誤りです。③は金融緩和により国内金利が低下すると資本が流出し、自国通貨は増価ではなく減価するのであり、この記述は方向が逆であるため誤りです。④は財政政策の拡大は国内金利を上昇させ資本流入を招くことで自国通貨を減価ではなく増価させ、純輸出の減少を通じて財政政策の効果を弱める(相殺する)方向に働くため、自国通貨が減価し効果が強まるという記述は誤りです。
問101-9

マンデル=フレミング・モデルで固定相場制を採用した場合の財政・金融政策の効果として、最も適切なものはどれか。

  • ①小国開放経済の固定相場制で資本移動が自由なら、金融政策は財政政策より有効に働く。
  • ②固定相場制のもとで財政政策を拡大しても、通貨当局が為替介入を行うことは一切ない。
  • ③小国開放経済の固定相場制で資本移動が自由なら、財政政策は金融政策より有効に働く。
  • ④固定相場制のもとでは、資本移動の自由度にかかわらず、金融政策は常に財政政策より有効である。
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正解 ③小国開放経済の固定相場制で資本移動が自由なら、財政政策は金融政策より有効に働く。
解説
資本移動が完全に自由な小国開放経済の固定相場制のもとで財政政策を拡大すると、金利上昇に伴う資本流入によって自国通貨に増価圧力がかかるが、通貨当局は為替レートを維持するために自国通貨売り・外貨買いの為替介入を行い、その結果として通貨供給量が増加する。この通貨供給量の増加が金利上昇を打ち消し、財政政策の効果を一層強めるため、固定相場制のもとでは財政政策が金融政策よりも有効に働くとされる。

他の選択肢が誤りの理由
①は固定相場制・資本移動自由のもとで金融緩和を行おうとしても、金利低下に伴う資本流出と自国通貨安を防ぐために通貨当局が自国通貨買いの介入を行わざるを得ず、当初の金融緩和の効果が打ち消されてしまうため、金融政策よりも財政政策の方が有効とされ、金融政策の方が有効であるという記述は逆であるため誤りです。②は固定相場制のもとで財政政策を拡大すると、為替レートの維持のために通貨当局が為替介入を行うことになるのであり、介入が一切ないという記述は誤りです。④は固定相場制のもとでは資本移動が自由な場合、財政政策の方が金融政策よりも有効に働くとされるのであり、資本移動の自由度にかかわらず金融政策が常に有効であるという記述は誤りです。

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